宇宙船とシステム
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/03/11 22:22 UTC 版)
ビーグル2号には、着陸後に使われるペイロード・アジャスタブル・ワークベンチ (PAW) というロボットアームが取り付けられている。PAWは、1対のステレオカメラ、6μmの解像度の顕微鏡、メスバウアー分光計、X線分光計、岩石サンプルを収集するドリル、スポットランプが備えられている。岩石サンプルはその後、ランダーの本体にある質量分析器とガスクロマトグラフィーにかけられ、炭素の同位体の組成が分析される。炭素は全ての生命の基礎であると考えられているため、これによりサンプルの中に生命の痕跡が残されているかが分かる。 さらに、ビーグル2号は小さな「モグラ」(Planetary Undersurface Tool, PLUTO) が備えられ、ロボットアームによって展開された。PLUTOは圧縮されたバネの機構を持ち、火星の20mm/sで動いて穴を掘り、頂上の空洞に地下のサンプルを集めることができる。ランダーにケーブルで繋がれており、これによりサンプルをランダーに回収することができる。 ランダーは、直径1m、深さ0.25mの浅いボウルのような形をしている。ランダーのカバーは蝶番で繋がれており、折り畳まれるように開いて、内部に収められたUHFアンテナ、長さ0.75mのロボットアーム、科学実験機器等が露出する。船体には、他にバッテリーや通信装置、電子装置、プロセッサ、ヒーター、その他放射線センサーや酸素センサー等のペイロード機器が入っている。蓋部分には、円盤形の4つの太陽電池が付いている。ランダーの荷物は、打上げ時の質量は69kgであるが、着陸時は33.2kgである。 地上部分は、SCOS2000として知られるESAのソフトウェアカーネルで動いている。低コストを実現するため、制御用のソフトウェアは初めてラップトップコンピュータで動かすこととされた。
※この「宇宙船とシステム」の解説は、「ビーグル2号」の解説の一部です。
「宇宙船とシステム」を含む「ビーグル2号」の記事については、「ビーグル2号」の概要を参照ください。
- 宇宙船とシステムのページへのリンク