宇宙カプセル上のスラスターの位置
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/04 05:58 UTC 版)
「姿勢制御システム」の記事における「宇宙カプセル上のスラスターの位置」の解説
機体速度を変化させる変換スラスターの配置には、機体の向きや回転を変更する方向転換スラスターにはない重要な制約がある。変換スラスターの噴射方向の直線が機体の重心を通るようになっていないと、その機体は噴射によって回転を始めてしまう。好ましくない回転を始めた機体で、自動的にスラスターを噴射して回転を止めるという方式を採用した例はなく、手動での制御が必要である。このような制約があるため、変換スラスターは方向転換スラスターに比べて配置できる位置が限られている[要出典]。 アポロ計画の指令・機械船と月着陸船には、外部ブロックとしてグループ化された4つの変換スラスター群があり、速度変更や方向転換に使われていた。他にもその2つの役目を別々のスラスター群で行う設計もある。 マーキュリー計画とジェミニ計画では、先端部に2つのノズルのグループがあり、噴射ガスが外部に排気されるスロットが切られていた。これらのスラスターは再突入ロケットや他のモジュールを投棄した後にのみ使われ、再突入時の姿勢制御にのみ使われるもので、速度を制御することはできない(実際、マーキュリーには速度を変化させる機構は全くなかった)。同様に、アポロとソユーズの指令船ではスラスターはグループ化されていない。 ジェミニとソユーズでは、1対の変換スラスターが後部に配置されていた。また、重心付近に同様の対の反動スラスターがあり、前方と外側を向いていた。これらは宇宙船が回転するのを防ぐよう対で作動する。横方向のスラスターも重心付近に配置されているが、ジェミニでは各方向に1つのエンジンしかなく、ソユーズはこれも対で配置していた。これらのエンジンは方向制御を意図したものではない。その用途にはジェミニもソユーズも機体後部にエンジンを持っている。ジェミニは相対的に質量が小さく、スラスターだけで軌道を変更可能であった。 ソユーズの後部には太陽電池パネルと並行な方向にスラスターが配置されていた。このスラスターは太陽電池パネルが太陽の方向を向くように制御するのに使われた。このスラスターがないと、コンピュータが常にパネルの方向を制御する必要があった[要出典]。機体の回転は逆側のスラスターを使って制御される。
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