季節遷宮
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/12 13:03 UTC 版)
「刈田嶺神社 (蔵王町刈田岳)」の記事における「季節遷宮」の解説
現在、山麓の遠刈田温泉にある「刈田嶺神社」と対になっており、当社を「奥宮」、遠刈田温泉の同名社を「里宮」と言う。神体は、夏季に山頂の「奥宮」に、冬季は麓の「里宮」にと、両宮の間を季節遷座している。 寛文(1661~1673)頃に片倉家が作り上げた「遠刈田屋敷図」には「蔵王大権現御旅宮」は記載されておらず、現在の「里宮」の位置には「嶽坊」が記載されている。 『奥羽観蹟聞老志』(1719)では、山頂に蔵王権現の神祠があり、峻嶽以東の山路には、萱峠に一の鳥居、荒深山前には鳥居松があったとしている。夏4月8日を「開扉(とびらき)」と称し、山頂雪解けし道路を開始し、登山の行く客を妨げないようにしていた。冬10月8日に「鎖扉(とたて)」をおこなった。岳麓の雪は深くなり、道路は頗る難しい。登山の行客は鮮少となり、これを憂う。郷党はこの日、蒸飯と濁酒を置き、その祭事を修むとしている。 『安永風土記御用書出』(1777)には「蔵王権現御旅宮」(おかりのみや)が記載され、蔵王嶽は雪が積もり冬の参詣ができないため、例年十月八日に山上から御下遷座し、当日は祭礼を行い、翌四月八日に御上遷座するようになった。この御旅宮は嶽之坊と同一の場所にあり、嶽之坊と蔵王大権現社は、同体ともいえるほど深くつながっていた。 現在では、「里宮」から「奥宮」への遷座は、刈田岳山頂に車で至る道路の蔵王エコーラインおよび蔵王ハイラインの開通に合わせて行われるが、両道路の開通日は冬季閉鎖期間中の積雪量に依存するため、遷座の時期がずれる場合もある。例年、両道路は4月下旬頃に開通する。毎年、遷座が行われる前には大崎八幡宮(宮城県仙台市)が「刈田嶺神社雪かき奉仕」を行っており、凍結した雪に埋もれた社殿および参道をつるはしやスコップを用いて露出させ、参拝可能な状態にしている。
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