天国篇 Paradiso
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/05 22:47 UTC 版)
地獄の大淵と煉獄山の存在する地球を中心として、同心円状に各遊星が取り巻くプトレマイオスの天動説宇宙観に基づき、ダンテは、天国界の十天を構想した。地球の周りをめぐる太陽天や木星天などの諸遊星天(当時、太陽も遊星の一つとして考えられていた)の上には、十二宮の存する恒星天と、万物を動かす力の根源である原動天があり、さらにその上には神の坐す至高天が存在する。 ダンテは、ベアトリーチェに導かれて諸遊星天から恒星天、原動天と下から順に登っていく。ダンテは、地獄から煉獄山の頂上までの道をウェルギリウスに案内され、天国では、至高天(エンピレオ)に至るまではベアトリーチェの案内を受けるが、エンピレオではクレルヴォーのベルナルドゥスが三人目の案内者となる。天国へ入ったダンテは、各々の階梯でさまざまな聖人と出会い、高邁な神学の議論が展開され、聖人たちの神学試問を経て、天国を上へ上へと登りつめる。至高天において、ダンテは、天上の純白の薔薇を見、この世を動かすものが神の愛であることを知る。 天国界の構造 火焔天 - 地球と月の間にある火の本源。焔が上へ上へと向かうのは、この天へ帰らんとするためと考えられた。 第一天 月天 - 天国の最下層で、生前、神への請願を必ずしも満たしきれなかった者が置かれる。 第二天 水星天 - 徳功を積みはしたものの、現世的な野心や名声の執着を断ち切れなかった者が置かれる。 第三天 金星天 - まだ生命あった頃、激しい愛の情熱に駆られた者が置かれる。 第四天 太陽天 - 聖トマス・アクィナスら智恵深き魂が置かれる。 第五天 火星天 - ダンテの先祖カッチャグイダをはじめとする、キリスト教を護るために戦った戦士たちが置かれる。 第六天 木星天 - 地上にあって大いなる名声を得た正義ある統治者の魂が置かれる。 第七天 土星天 - 信仰ひとすじに生きた清廉な魂が置かれる。 第八天 恒星天 - 七つの遊星の天球を内包し、十二宮が置かれている天。聖ペトロら諸聖人が列する。 第九天 原動天 - 諸天の一切を動かす根源となる天。 第十天 至高天 - エンピレオ。諸天使、諸聖人が「天上の薔薇」に集い、ダンテは永遠なる存在を前にして刹那、見神の域に達する。
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