大衆とカメラ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/24 01:25 UTC 版)
1950年代以降、工業製品としてのフィルム式カメラの機能面においては、自動露光機構や自動焦点機構、カメラ内蔵式ストロボといった高度な自動化システムが、高級カメラよりもむしろ大衆機から率先して導入され、撮影自体の簡易化は著しく進行した。 そのようなカメラの進歩過程でもなお大衆ユーザーがしばしばつまづいたのが、フィルム装填の取り扱いであった。一般的なフィルム式カメラでは、あらかじめ購入しておいたカメラへ、別途購入したフィルムを使用者自身が装填する。フィルムのパトローネをはめ込み、フィルム両脇のパーフォレーションに送り出しギアを噛ませて巻き上げる装填作業には、逆の過程となる巻取り、取り出し共々、相応に慣れが必要である。 撮影後に現像やプリントを写真店などに依頼するには、使用者自身がフィルムを巻き戻して取り出さなくてはならないが、機械の苦手なユーザーの場合、装填ミスや、撮影済みフィルムの取り出し・巻取りミスによる曝露といったミスが起こりうる。このためカメラの取り扱いに自信のない大衆ユーザーには、行き付けの写真店でフィルム装填・取り出しを委ねたり、旅先の写真店に飛び込んでフィルムを買い、店員に撮影済みフィルムと詰替えてもらうような事例が少なからず見られた。 また時代と共に大衆向けカメラは低廉化が進んだが、ほぼ全てのカメラは、たとえ大衆機であっても精密加工技術を伴って生産される耐久消費財として、それに見合った価格水準で生産・販売されてきた。その多くが、1930年代に誕生した後、ライカが採用したことで広まり、後にはデファクトスタンダードとなった135フィルムを用いていた。何度も新たなパッケージングやフォーマットの提案はあったものの、ニッチなセクタを確保した110フィルム以外はいずれも短期に消えていった。
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