大草の座
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/16 04:46 UTC 版)
大草で言う座とは、世間一般に言う座と意味は同じである。つまり、座る場所である。座布団の座であると思ってもらっても良い。庖刀式に限らず色々な公式とか格式張った儀式の場合、「誰がどこに座るのか」、その場合に応じて規め事がある。現代では椅子が用意され、腰掛ける事も多いが、座の理屈は一緒である。 座を覚えるには、まず「上座と下座」がわからなければならない。それには、上手と下手から先に話をしよう。つまりは、自分を中心として左手の方が上手で、右手の方が下手である。 さて、上手がもちろん上座である。上座は、自分より格上の人が座る席であり、下座はその反対である。この格上、格下と言うものは、かつては封建的な基準で考えた上下かもしれないが、大草ではもう少し深い意味合いで解釈している。決して身分の格差ではないと言う事をである。儒教からくる年齢の序列、礼儀からくる先輩、後輩の絆のあり方、組織上の機能からくる役目としての上下、そして立場の上下など、それを公式に表現したのが上座、下座であると、幅広く豊かに解釈すべきである。 上座に対して最も必要なものは「敬意」であり、下座に対しては「思いやり」である。この事は、一番大事な事なので、しっかり理解して欲しい。 どんなに複雑な儀式でも、大草の場合、原点は全てこの「敬意」と「思いやり」の表現である。そして、機能としては礼儀と立場の構図でしかない。まかり間違っても差別のための上下関係ではないのだ。いずれにしろ、上座にはへつらい、下座には威張るなどと言う間違いは、するべきではない。へつらい威張る事ほど見苦しい事はないのである。もちろん特殊な場合だが常識的に見ても後輩であり、若輩であっても上座に座る場合がある。これは、お客様だとか、上座に座るべき人から信任を受けた代理人の場合である。お客様には歓待をし、代理人には敬意を表するのも、これまた礼儀である。まさに礼儀と立場の構図たるそれが、大草の座の所以である。
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