大学の自治の主体
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/15 14:49 UTC 版)
教授その他の研究者は当然に大学の自治の担い手となる。これに対し教員以外の者特に学生が大学の自治の主体に含まれるかどうかについては議論がある。 学生の地位について東大ポポロ事件の最高裁判決は「施設が大学当局によって自治的に管理され、学生も学問の自由と施設の利用を認められる」と判示して学生を営造物利用者とみる営造物利用者説をとっている。学生は大学における学問研究や学習の主体であり大学の不可欠の構成員であると理解されているが、大学の自治における学生の役割をどう捉えるかについては議論がある。 学生の自治と大学の自治は次元を異にするもので両者を混同すべきでないとみる観点からは、学生は学問研究及び教育に必要な事柄を判断決定する責任を負っているわけではないことから、あくまでも教授会その他の研究者組織による自主的決定によるべきとする。他方で学生参加の意味を大学管理機関の意思決定過程に対する学生の意見の反映と広く捉えるならばこれを否定すべき理由はないと考えられている。東北大学事件控訴審判決で仙台高裁は「学生は、大学における不可欠の構成員として、学問を学び、教育を受けるものとして、その学園の環境や条件の保持およびその改変に重大な利害関係を有する以上、大学自治の運営について要望し、批判し、あるいは反対する当然の権利を有し、教員団においても、十分これに耳を傾けるべき責務を負う」と判断している(仙台高判昭和46・5・28判時645号55頁)。 世界各国、特に先進国においては、近代的な大学運営の必要性と、他方における官僚主義の弊害を免れる必要性とをいかに均衡させるかは重要な問題である。
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