多層構造・多声の語りとは? わかりやすく解説

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多層構造・多声の語り

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/03 04:43 UTC 版)

ルイーズ・アードリック」の記事における「多層構造・多声の語り」の解説

1984年発表され小説『ラブ・メディシン』は、アードリックがノースダコタ州架空の町アーガス舞台として以後20年わたって描き続けることになるオジブワ族コミュニティ物語第一作であり、同年全米批評家協会賞受賞した。ラブ・メディシン(愛の妙薬)とは、「狭義には男女間の冷えた愛を復活させる秘薬」のことだが、本作品では虐げられてきた人びとの魂を癒し、「物や人を所有的にではなく愛しおだやかに分かち合って生きる新しい知あるいは術」をも意味するとされる。この作品では、チペワ族の混血女性であるジューンの死を巡って恋敵二家族キャシュポー家とラマルチヌ家三代にわたる物語互いに交錯しつつ展開され、ここにさらに先住民神話土台としてトリックスター超自然現象言葉呪術的力などのモチーフ織り込まれていく。アードリックはネイティヴ・アメリカン・ルネサンス(英語版第二波代表する作家とされるが、N・スコット・ママデイ(英語版)、レスリー・マーモン・シルコウらの第一波作家が「伝統的先住民性を強調し文化的伝統復活共同体回帰によって現代先住民の文化アイデンティティ安定サバイバル」を試みたに対して、アードリックは、「(先住民虐殺の)破局の跡に残され文化核心守り称えながらも、現代生き残った者たちの物語を語る」とし、歴史性政治性強調したり、先住民性を前面押し出したりする第一波とは一線を画している。 また、これについて彼女は、両親から先住民系、欧州系の両方血を引いていることに触れ、「私の出自文化混合にあり、私にはこれを出発点として書く以外に方法がない。父方母方両方のことを知るにつれ、私はたくさんの民族とともにさまざまな時代さまざまな場所に生きてきたとつくづく思う」と説明している。アードリックの作品土地奪われ虐殺され不毛な土地へと囲い込まれ先住民現代アメリカ社会生きる姿を時には悲しみ込めて時には滑稽に描きながら、同時にまた先住民の伝統にもポストモダニズムにも通じ多層構造、多声の語り循環的時間トリックスター(特にオジブワ族トリックスター「ナナボーゾ」)的人物など特徴とするのは、彼女のこうした世界観よるものである。

※この「多層構造・多声の語り」の解説は、「ルイーズ・アードリック」の解説の一部です。
「多層構造・多声の語り」を含む「ルイーズ・アードリック」の記事については、「ルイーズ・アードリック」の概要を参照ください。

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