塩生植物の耐塩性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/02 15:38 UTC 版)
高塩分条件の耐性は、いくつかの生化学機構によって成し遂げられる。植物に高水準の塩分が取り込まれると、イオン濃度の不均衡が起こり、細胞呼吸と光合成に障害が生じ、重症の場合、生育速度の低下、障害、枯死を導く。生理食塩水条件に対する耐性には、プロトプラストが、増加した塩濃度の毒性と浸透圧効果を調節する方法を有する必要がある。塩生維管束植物は、塩分濃度が約6%、極端な場合は最大20%の土壌で生き残ることができる。このような耐塩性は、ストレスタンパク質及び適合溶質(compatible osmotic solute)によって成り立つ。 塩生植物は細胞に高レベルの塩分を取り込む傾向がある。この塩分は、土壌から水分の取り込みを確実に行うために、土壌環境よりも浸透ポテンシャルを低く保つためにしばしば必要となる。細胞内の高塩度濃度は、葉緑体などの高感受性の細胞小器官に損傷を与える可能性があるため、イオン分子は液胞へと貯蔵され細胞小器官から隔離される。液胞内の高塩濃度は液胞と細胞質の間に高い濃度勾配を生じさせるため、細胞質での適合溶質の蓄積が行われて塩分が液胞から流出することを防ぐ。このような適合溶質として、プロリンなどのアミノ酸は塩生アブラナ属植物種に、グリシンベタインなどの四級アンモニウム塩基と糖はアカザ科の塩生種に、キク科のメンバーはcyclitesと可溶性糖が知られる。細胞質での適合溶質の蓄積は、塩分の濃度が有毒な水準まで上昇することを防ぐため、または高濃度勾配の維持を必要としている間、浸透圧効果のバランスを制御することを可能にする。
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