堰の機能
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/06 03:42 UTC 版)
流水の制御施設には堰のほか水門や樋門がある。農業工学では取水堰、取水口、付帯施設(沈砂池、魚道、舟通し等)など河川湖沼から用水路に農業用水を引き入れるための構造物を総称して頭首工という。 河川等をせき止めて上流側の水位を上げることによって、水を貯留したり、用水路などへの取水を容易にしたり、計画的な分流を行ったりする役割を持つ。下流側からの海水の逆流を防止(潮止めという)して塩害を防ぐ場合もある。つまり、堰は基本的に水を利用(利水)するために設置されるものであるが、大規模な可動堰は強力に水を制御できるため、治水などを含めた形で多目的に用いられることが多い。 堰は堤防機能をもたないものをいい、堤防機能をもつ水門と区別する。ただし、水門には河川付近に設置される防潮水門のように外見上は堰(河口堰)と判別しにくいものがある。実際に構造物そのものはほとんど変わらないものもある(例えば隣りあって設置されている利根川河口堰と常陸川水門)。しかし、水門が洪水時には門扉を閉鎖し堤防としての機能を持つのに対して、堰はせき止めた水が氾濫しないように、むしろ門扉を開放して水を積極的に流すため、堤防としての機能を持たないことで区別される。 なお、ダムは水を止めるための堰であり堰堤といわれるが、堰とダムは通常区別されている。日本では1964年(昭和39年)に改正された新河川法において、利水目的のものについては堤高15メートル以上のものをダムと定義していることから、堰は堤高15メートル未満である。一方、河川管理目的のものについては1976年(昭和51年)に「河川管理施設等構造令」が施行され河川法と同様の規定がなされたが、国土交通省が管理する一部の堰は高さが15.0メートル未満であっても、その機能から特定多目的ダムとして扱われている。なお、世界的な基準においては堤高15メートル以上のダムをハイダムといい、それに満たない高さのダムをローダムという。
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