基地村の女性たち
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/03/28 14:21 UTC 版)
基地村で生活し働くことは社会的スティグマであるため、基地村の住民は、韓国の一般社会とは交わりをもたない場合が多い。韓国の一般市民から見れば、基地村に住む者は、貧しいか、何らかの理由で社会の周縁へ追われた者たちである。基地村は、おもに米兵相手の売春の場になっており、それは「韓国を防衛する米兵たちに必要であり、(地域の)経済発展にも資する」ものであるとされている。基地村における事業は、おしなべて「米軍関係者のため、「韓国特殊観光協会 (Korea Special Tourist Association) の免許を受けて」展開されている。こうした政府とのつながりもあり、また、基地の多くが非武装地帯付近にあるという事情のため、セックスワークや米兵の犯罪は、一般市民の目からは容易に隠されている。 基地村で売春に従事する女性たちは、「洋公主(양공주:ヤンコンジュ)」、「洋セクシ(양색시)」、「洋ガルボ(양갈보)」などの蔑称で呼ばれる。また、1980年代に日本の慰安婦問題に注目が集まるようになるまでは、「慰安婦(위안부、comfort women)」はもっぱら彼女たちを指す公的な用語であった。 基地村で働く女性たちは、彼女たち自身がそのような生き方を選択したという(一般社会側の)感覚が存在することもあり、特に社会的スティグマを帯びている。このため、基地村の女性たちは、基地村を離れることは滅多にないし、離れた者は家族からも隠れて暮らしている。かつては、貧しい女性たち(その中には元慰安婦もいた)を基地村に集める活動が活発で、彼女たちは消耗品扱いで「<りっぱな>韓国女性たちの純潔を守る」ために使われた。 かつての韓国は、アメリカ人女性や子どもたちが行くには「危険すぎる場所 (too dangerous a locale)」とみなされており、また、人種間結婚は違法とされていたため、米国は人種間の性的接触も管理が必要だと考えていた。こうした背景から、アメリカ合衆国における人種の隔離線を反映して、基地村の女性たちも黒人兵相手の女性は、白人兵を相手にできなかった。
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