培地組成について
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/27 05:03 UTC 版)
一般にラン科植物は発芽初期には硝酸還元酵素の活性が低く、硝酸イオンのみを窒素源とする培地では生育が悪いか、あるいは育たない。初期栄養としてアンモニウムイオン、あるいは有機窒素源が培地に含まれなければならないが、これらの窒素源と硝酸イオンの適正比率・適正濃度はランの種類によって大幅に異なる。ある種のランに好適な培地でも、他種はまったく発芽・生長しないことがある。 着生ランの多くは、ビタミンB群やニコチン酸(ナイアシン)、その他の有機物が培地に含まれていないと生育が不良になる。洋ランの生産現場では、有効成分は確定されていないが経験的に野菜や果物のジュースや、すりおろし汁などを無機培地に加えて培養すると生育が促進されることが知られている。なお、ランの種類や品種、時には同一個体でも生長段階によって効果的な添加物は異なる。添加材料の収穫時期や、品種による成分差などもあるため、添加物の有効性について検討した報文は多数あるが確実な再現性は期待できないのが難点である。 また、地生ランでは培地に過剰な有機物が含まれているとむしろ生育阻害に働く場合がある。そのため安易に野菜類などを添加するのは避けねばならない。加える場合でも添加量を着生ラン用培地の2分の1から5分の1程度に制限したり、時には無機成分を含めて培地組成そのものを改変しないと培養できない場合がある。
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