埋蔵量と採掘量
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/21 01:16 UTC 版)
テンギス油田の石油埋蔵量は約250億バレル(40億m3)と推定されており、世界第6位の大きさの油田である。テンギス油田とコロレフ油田の回復可能な石油埋蔵量は約60~90億バレル(0.95~1.4億m3)と推定されている。コロレフ油田単独では15億バレル(0.24億m3)であり、テンギス油田の6分の1のサイズとなっている。他の多くの油田と同じく、テンギス油田にも大量の天然ガスが埋蔵されていることがわかっている。テンギス油田は世界有数の油田であり、メキシコのカンタレル油田と埋蔵量がほぼ等しい。 テンギス油田から採掘される石油には大量の硫黄(最大17%)が含まれており取り除く必要が有るため、2002年12月時点で油田付近には約600万トンの巨大な硫黄の山が出来上がっている。当時、約4,000トン/日の硫黄がさらに積み上げられていた。2007年10月3日、カザフスタン環境省は硫黄が積み上げられることにより起きた被害により、TCOに対して罰金を科すと発表した。 2002年、TCOはカザフスタン国内の石油総採掘量の3分の1に当たる28.5万バレル/日(45,300m3/日)を採掘していた。2003年1月、カザフスタン政府による物議を醸す交渉の結果、TCOコンソーシアムのメンバーは2006年までに約45万バレル/日(72,000m3/日)まで石油採掘量を増加させる30億USドルの拡張プロジェクトを開始した。2008年9月、シェブロンはテンギス油田の拡張プロジェクトの主要部は完了し、最大採掘量が54万バレル/日(86,000m3/日)まで増加したと発表した 。2012年、シェブロンはテンギス油田の1日あたりの総採掘量が25~30万バレルにまで増加、1日あたりの生産量の上限が50万バレルに達したと発表した。 地政学的競争が激しいエリアであることから、テンギス油田の石油を運ぶルート建設が取り沙汰されている。テンギス油田から採掘される石油はもともとカスピ海パイプラインコンソーシアム(英語版)(CPC)プロジェクトにより、ロシアの黒海沿岸の港街ノヴォロシースクへと運ばれていた。バクー=トビリシ=ジェイハン・パイプラインはロシアのパイプラインへの依存を回避するため、アメリカ合衆国とイギリスが関心を持つ代替となるパイプラインであり、アゼルバイジャンからの主要原油輸出ルートである南カスピ海に端を発するルートである。さらに、トタルは地政学上の観点から、イランを通過し、理論的には一番安価な南部のパイプラインルートに関心を持っているが、アメリカ合衆国はこのパイプライン建設に賛同していない。
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