地蔵
『今昔物語集』巻17-9 比叡山で修行する僧浄源は、京に飢饉が起こった時、「老いたる母を助け給え」と地蔵に祈った。比叡山での7日間の祈りが満ずる夜、京の老母は、「1人の小僧から絹3疋を与えられる」との夢を見た。目覚めると現実に絹3疋があったので、老母はそれを売って米30石を得た。
『今昔物語集』巻17-13 水銀を採掘する3人の男が、穴の中に閉じこめられた。1人の男が、日頃信仰する地蔵に祈ると、暗黒の中に火の光が見えた。10余歳の小僧が手に紙燭(しそく)を持ち、「私の後をついて来い」と言う。男は小僧に導かれて、穴から出ることができた。あとの2人は火の光を見ず、穴の中で死んでしまった。
『今昔物語集』巻17-17 東大寺の僧蔵満は30歳で病死し、冥府の使いたちに捕らえられた。そこへ、端厳(たんごん)美麗で光を放つ小僧が、菩薩・聖衆を連れて現れたので、冥府の使いたちは合掌礼拝し、蔵満を解放して去った。小僧は、蔵満が日頃信仰していた地蔵の化身だった。蔵満は蘇生し、その後、90歳まで生きた。
『今昔物語集』巻17-3 検非違左衛門尉平諸道の父が、合戦中に矢を射尽くして困っていた。すると戦場に小僧が1人現れ、矢を拾い集めて渡してくれた。小僧は、敵の矢が背に突きささったまま、どこかへ消えてしまった。合戦後、平諸道の父が氏寺に詣でると、地蔵菩薩像の背に矢が1本ささっていた。
『南総里見八犬伝』第9輯巻之18第124回・巻之19第127回 嘉吉の戦いに義死した諸霊のための大法会が行われた時、老乞食坊主が来て、「悪僧徳用が法会に呼ばれなかったため怒り、大勢で攻めてくる」と教え、米・銭の施行を受けて去った。犬士は迎え撃つための準備をするが、後に辻堂の石地蔵を見ると、米の入った袋をかけ、銭がくくりつけてあったので、老乞食坊主は地蔵菩薩であったことがわかった。
★4.少年が地蔵の姿をあらわす。
『宇治拾遺物語』巻1-16 「地蔵菩薩は暁ごとに歩(あり)き給ふ」と聞いた老尼が、「地蔵様を拝みたい」と願って、方々を捜しまわる。男が老尼を、「ぢざう」という名前の、10歳ほどの童(わらは)の所へ連れて行く。老尼は童を見て土にひれ伏し、童は手に持った小枝で自分の額を掻く。童の顔は裂け、その中から地蔵菩薩の顔が見えた。老尼は涙を流して拝み、そのまま極楽往生した。
『日本霊異記』下-9 藤原広足は頓死して冥府へ召されたが、「冥府で苦を受けている亡妻のために、『法華経』を書写して供養をする」と誓い、現世へ戻ることができた。冥府の門を出る時、広足は、「私を召した人の御名を知りたい」と思って問う。すると、「我は閻羅王(=閻魔王)。汝の国では地蔵菩薩と呼んでいる」との答えが返って来た。
地蔵と同じ種類の言葉
Weblioに収録されているすべての辞書から地蔵を検索する場合は、下記のリンクをクリックしてください。
全ての辞書から地蔵を検索
- >> 「地蔵」を含む用語の索引
- 地蔵のページへのリンク