地域IX
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/12 16:52 UTC 版)
「インターネットエクスチェンジ」の記事における「地域IX」の解説
「東京一極集中#問題点」も参照 日本国内のインターネットトラフィックは東京に一極集中しており大半の大手IXは東京に存在しているが、障害時のリスク分散や地域内の効率的なトラフィック交換が十分なされていない。地域IXは東京のIXのリスク分散、及び効率的かつ経済的なトラフィックの中継のために設けられる。しかし地域IXの効用を充分享受するためには多くのISPが大容量バックボーン回線にて複数の地域IXに接続することが必要となる。 単に地域IXに物理的に接続するだけでなく、BGPなどによりAS間の経路を設定しピアリングやIPトランジットを行う必要がある。しかし現実的には契約上の問題、ポリシーの問題、企業の資本関係などの理由でIX接続を果たしてもピアリングができない場合も存在する。このため、異なるプロバイダ同士でデータをやりとりする場合、物理的な距離が近くても、IPパケットははるばる東京まで往復して戻ってくることが多いといった無駄が発生している。 また、大手プロバイダーは自前で全国網を構築している所が多いこと、インターネットコンテンツ(Webサーバなど)が東京に集中していること、地域内折り返しのトラフィックが現状では少ないことなど、あえて地域IXに接続しルートを設定するコストに対するメリットも見いだしがたく、中々地域IXでの交換が進展しないのも現状である。 国際回線も海底ケーブルの陸揚げ局が関東地方の北茨城(茨城県)と南房総(千葉県)、近畿地方の志摩(三重県)に集中している。 このような理由により、地域IXは本来の目的であるトラフィックの地域内折り返し用途にはあまり効果を発揮できない状況であり、現実には地方から東京への高額な通信回線の共同購入目的に使われることが多い。結果的に障害時のリスク分散ができている状態にあるとは言い難い状況である。 また、2010年代以降、ISPの寡占化とバックボーン伝送技術の鈍化により大手ISP同士のトラフィック交換が東名阪札仙広福といった拠点でのプライベートピアリング・トランジットに移行しており、IXを通じたトラヒックは全体の一部に過ぎなくなっている。
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