国際的な子の返還と家事調停(総論)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/08 04:00 UTC 版)
「家事調停」の記事における「国際的な子の返還と家事調停(総論)」の解説
国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約(ハーグ子奪取条約)は、監護の権利が侵害されて子が外国に連れ去られ、又は留置されていると主張する個人、施設又は機関が、子が現に所在する国の司法機関等に対して、子を常居所地国に返還することを命じるよう求める手続(同条約8条から20条まで)及び子との面会交流 access の権利内容を定めその効果的な行使を確保する取り計らいを求める手続(21条)を定めることを主な内容とする条約である。 前述のとおり、面会交流は、家事調停が利点を発揮し易い紛争類型である。また、子の返還についても、ハーグ子奪取条約が求めているのは常居所地国への返還であって常居所地への返還ではないから、返還の方法は多様であり、そこに当事者間の協議の余地が生じる。例えば、義務者が子とともに常居所地国へ任意に帰還することを約束するが、見返りとして権利者に刑事告訴の取下げと、義務者の生活圏内への接近禁止を要求し、権利者が子との自由な電話交流を条件に、司法当局の判断が下されるまでの暫定的措置として義務者の提案を受け入れる、というような交渉を行う余地がある。そこで、ハーグ子奪取条約は、子の任意返還を目的とする適当な措置(10条)及び接触の権利の内容設定及び順守事項の履行確保を目的とする仲介者を通じた手続(21条3項)を締約国の中央当局が設けることを予定している。 この分野で世界的に著名な調停機関は、ドイツ発祥の MiKK e.V. とイギリスの Reunite International である。日本語に習熟した調停人が所属する組織としては、東京家庭裁判所及び大阪家庭裁判所(面会交流に関する調停は、その他の日本の家庭裁判所でも実施している。国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律(日本)148条)があるほか、家事調停に特化した組織ではないが、京都国際調停センターもある。
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