国鉄電車用主電動機との比較
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/19 03:51 UTC 版)
「国鉄103系電車」の記事における「国鉄電車用主電動機との比較」の解説
電気鉄道用主電動機は固定歯車比の減速機構を通して車軸を駆動する関係で、主電動機に幅広い回転数変化とくに、弱め界磁時の高速回転に耐えることが求められる。このことを数値的に表すために主電動機の高速回転能力を示す指針としては出力よりもSRP (Specific Ratio Power) を用い、電動機進歩の比較としてSSRP (Specific Speed Ratio Power)を用いることがある。ここでSRPとは許容回転数×(電動機出力÷定格回転数)(馬力HP)であり、SSRPはSRPを主電動機質量で除したものである。下記に国鉄の主な主電動機のSSRPとSRPを示す。 国鉄電車用主電動機の能力比較(参考値)MT30MT40MT46AMT54MT55MT60MT61MT63WMT61A(JR西日本)主な形式 モハ72形 モハ72形 101系 113系 103系 201系 205系 207系(国鉄) 205系1000番台 許容回転数 (rpm) 2000 2000 4320 4320 4400 4850 4600 6000 5100 定格回転数 (rpm) 780 870 1860 1630 1250 1890 1540 2200 1540 電動機出力 (kW) 128 142 100 120 110 150 120 150 120 電動機出力 (HP) 171.7 190.4 134.1 160.9 147.5 201.2 160.9 201.2 160.9 SRP 440.3 437.7 355.4 426.4 479.8 516.3 480.6 548.7 532.9 電動機質量 (kg) 2100 1970 740 800 980 835 800 535 800 SSRP 0.21 0.22 0.48 0.53 0.49 0.62 0.60 1.03 0.67 SRPの定義式は、許容回転数×(電動機出力÷定格回転数)と変形できるのでSRPはすなわち、設計安全最高速度と定格トルクの積に比例する値となる。したがって車両の設計安全最高速度と質量あたり出力を決めると、起動加速度はSRPにほぼ比例することが分かる。定格回転数が低いにも関わらず許容回転数が高い103系のMT55は、SRPやSSRPで比較すれば、他の新性能電車向け主電動機に負けず劣らず軽量で高速回転に耐える優秀な主電動機であるのだが、「103系の高速運転時にはモーターがブンブンと回るだけ」と、高回転では103系のモーターが能力外であると勘違いさせるかのような記述も見受けられる。ただしMT55を定格速度が低い103系のセッティング(歯数比と車輪径)で使う場合、定出力領域は64 km/hで終わり、それ以上高速になると出力が落ちる。これは113系や115系(ともに歯数比は4.82〈17:82〉)の84 km/hに比べて低いばかりか、定格出力の小さい101系の67 km/hよりも低い数値であり、高速域では主電動機の持つポテンシャルを出し切れていないことになる。
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