固定・染色
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/27 09:17 UTC 版)
まず標本のタンパク質をホルマリンのようなアルデヒド性の固定液を用いて固定し、タンパク質分子内外にしっかりと分子間の架橋を形成させる。 次に、アルシアンブルーで軟骨を染色する。アルシアンブルーは、酸性多糖類の硫酸基と結合する性質を持った青い色素で、軟骨に多く含まれるムコ多糖類の一種、コンドロイチン硫酸などと結合する。このため軟骨部分が特に著しく青く染まることになる。ただし、ムコ多糖類は必ずしも軟骨にのみ局在しているわけではないため、試料によっては一見非特異的な染色になることがある。例えば、酸性を呈する軟骨染色液による染色に時間をかけすぎるなどの理由で硬骨の脱灰によるリン酸カルシウムの喪失が著しく進行してしまうと、後述の硬骨染色が不全に終わり、硬骨の細胞外マトリクスのムコ多糖類に対するアルシアンブルー染色が卓越して全骨格があたかも軟骨であるかのような仕上がりとなってしまう。 次に、アリザリンレッドSで硬骨を染色する。アリザリンレッドSは紫色の色素であるが、金属イオンと結合して赤く発色する。硬骨には燐酸カルシウム(燐灰石)の結晶が沈着しているため、この結晶内のカルシウムイオンとアリザリンレッドSが結合し、硬骨が赤く染色されるわけである。アルシアンブルー同様、アリザリンレッドはあくまで金属イオンと結合するため、カルシウム沈着した魚鱗(そもそも皮骨性の骨格系の構成要素ではあるが)なども強く赤色で染色される。
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