四川大地震に伴う影響
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九寨溝地域は2008年5月12日の四川大地震の断層帯からは離れており、被害は軽微であった。しかし周囲の道路が一時不通となり、当時滞在していた観光客は最初に開通した甘粛省の蘭州市などへの陸路移動により順次この地を離れた。九寨黄龍空港への道も開通し全ての観光客がこの地を離れたのは5月17日であった。 成都からの主要ルートである国道213号(都江堰・茂県・松潘経由)は震源地汶川を経由していたため、土砂崩れや橋梁の崩壊などにより道路が寸断された。大型車が通れるまでに復旧したのは2009年7月であり、それまでは迂回路の使用を余儀なくされた。九寨黄龍空港に被害は無かったが九寨溝の観光受け入れが約1ヶ月間中断していたため、その期間は定期便も1日1便までに減少した。 安全が確認され、物資の安定供給が可能になり次第、空路経由による観光客受け入れが再開されることになった。航空便も7月からは増便が続き、2008年8月6日には四川省観光局から「ツアー再開宣言」が出された。主に中国国内の団体客が利用するバスツアーについては、蘭州市から甘南チベット族自治州を経由する新ルートが開拓された。また、成都からの東回り(綿陽・平武経由)経由での定期バスも運行され始めた。なお、この東回りの道路も地震の被害を大きく受けていたうえ現地の災害復興を優先する必要があったことから運行は不安定なものであった。このため震災後しばらくの間は空路が観光客の足の中心となり、空路の輸送量の制限や運賃の高さから観光客が激減した。例年であれば1日1万人以上が入場する2008年10月(紅葉期)の休日でも、2000人前後と低迷した。 観光再開当初は観光客の安全を優先したため、徒歩での観光が認められなかった。九寨溝グリーンバスでも自由乗降はできず、バスでのガイドツアー方式のみとなっていた。 2010年4月、地震により制限を受けていたバスツァーが、綿陽・平武経由の東回りルートで、全面再開された。これで、陸路・空路によるツァーの選択が出来るようになった。本来のメインルートである西回り(国道213号)は、復興工事が難航していたが、工事完成により、2010年11月30日、片側通行の交通管制が解かれ、全面通行と通常に戻った。これにより、ツァーや九寨溝・松潘方面へのよう距離バスは西回りのメインルートに戻った。2011年8月、汶川川主寺間の道路整備が完成し、約1時間の短縮となった。但し、地震による地盤弱化の影響もあり、夏季の大雨による崖崩れなどにより、西回り・東回りとも交通不能になることもある。
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