商法学における「所有と経営の分離」
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/07/20 03:29 UTC 版)
「所有と経営の分離」の記事における「商法学における「所有と経営の分離」」の解説
会社法上の会社には、合名会社・合資会社・合同会社(この3種を、持分会社 という)及び株式会社の4種がある。このうち、株式会社においては、多数の社員(出資者)を募って大規模企業の結成を予定するため、社員たる地位を均一な割合的単位である株式に細分化し、社員の責任を出資の限度に制限した(有限責任)。この場合、株主の多くは経営に関心が薄く、また、経営の能力もない無機能資本家である。そこで、その経営を経営の専門家たる取締役や執行役に委任し、会社運営の適正化(透明化)と合理化をも目的として、所有(株主)と経営(取締役、執行役)の分離・分担を原則とした。 近時の法改正によって創設された社外取締役制度や委員会設置会社制度は、所有と経営の分離からさらに進み、経営と執行の分離をも図るものである。一方、同様に近時商法改正で創設されたストックオプション制度は、所有と経営(ないし執行)の一致を進めるものであり、「所有と経営の分離」に関る会社法制は会社の選択の幅を広げ、錯綜している。 なお、「所有と経営の分離」は、以上の制度的な意味における用法の他、無機能資本家の増大および株式所有の分散化によって生じる、株主地位の低下・弱体化や、株主(ないし株主総会)の会社に対する支配・監督機能の喪失傾向という病理現象を指すこともある。もっとも、この場合には「所有と経営の分離」と呼ぶよりも「所有と支配の分離」と呼ぶ方が適切とも言われる(この点、『法律学小辞典(第4版)』、有斐閣、2004年参照)。
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