合成カンナビノイドの薬理機序
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/09 07:56 UTC 版)
「カンナビノイド」の記事における「合成カンナビノイドの薬理機序」の解説
カンナビノイド2受容体 カンナビノイド受容体タイプ2(英語版) (CB2受容体) をノックアウトしたマウスは、長期記憶の前後関係を損ない、空間作業記憶を増強する。CB2受容体は、主に免疫機能に関与するだけでなく、統合失調症やうつ病などの精神疾患に関与している。CB2受容体のノックアウトとは対照的に、C57BL/6JマウスにおけるAM-630(英語版)によるCB2受容体の急性遮断は、記憶・運動活性・不安に影響を及ぼさなかった。 GABAA受容体 CB2受容体の慢性的な遮断は、GABAA受容体の変化に関連付けられている抗不安様作用を誘発する。JWH-133(英語版)の急性投与は特に効果がなかった。AM-630の急性投与は不安を増加させ、JWH-133の前投与によって阻止された。AM-630の慢性投与が抗不安であるのに対し、JWH-133の慢性投与は不安様行動を増加させた。AM-630の慢性投与は、CB2受容体と皮質と扁桃体におけるGABAAα2(英語版)およびGABAAγ2(英語版)の遺伝子発現を増加させた。それに対しJWH-133の慢性投与は、遺伝子の反対変化をもたらした。AM-630またはJWH-133での長期投与後に観察された反対の行動および分子の変化は、不安の調節におけるCB2受容体の重要な役割を支持している。マウスの不安を減少させたAM-630の有効性は、不安関連障害の治療における新たな標的としてCB2受容体の可能性を強化している。 アデニル酸シクラーゼ CB受容体作動薬はアデニル酸シクラーゼ (AC) の活性促進作用を併せ持つ。CB1受容体の作動薬であるWIN 55,212-2はACの強力な活性促進作用(EC50=21.82nM)を示した。 反対に、CB受容体拮抗薬はACの活性阻害作用を併せ持つ。CB1受容体の逆作動薬であるリモナバントはACの活性阻害作用を示した。 グルタミン酸・ドーパミン・アセチルコリン カンナビノイドは、グルタミン酸・ドーパミン・アセチルコリンを介して記憶へ影響すると考えられている。 NMDA(15µM)神経毒に対し、WIN 55,212-2(20nM)とCP 55,940(英語版)(20nM)は有意に神経保護した。しかし、高濃度(1, 10µM)での培養は36時間後に神経細胞をアポトーシスさせた。WIN 55,212-2はグルタミン酸阻害作用と、アセチルコリン阻害作用が示されている。
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