各宗派・地方における違い
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/06 13:52 UTC 版)
「ズィナー」の記事における「各宗派・地方における違い」の解説
ズィナーの罪については、宗派や地方によって解釈も刑罰も大きく異なる。 サウジアラビアでは石打ちが行われていると言われることがあるが、ワッハーブ派の解釈ではハディースの記述を採用していないため、石打ちは法定刑罰としては存在していない。このため、ズィナーの罪に対しては銃殺刑・斬首刑・絞首刑のどれかが科されることになっているが、男性の場合は「女性に誘惑された」などの言い逃れの手段があるので、実際にこれらのやりかたで処刑されるのは女性のほうが多く、男性は鞭打ち100回で済まされることも多い。レイプの場合でも、男性が言い逃れしたため女性のみ死刑という事例が存在する。ただしこれも、相手の女性を支配する男性親族と女性とセックスした相手の男性の地位の差や、男性がムスリムなのか否かにより違いがある。 男性に有利な判決が下されるのは男性がムスリムである場合で、男性側が異教徒の場合は女性と同様に死罪になる。サウジアラビアでは自国の女性の外国人との結婚を極端に制限しており、サウジアラビア人の女性と外国人の非ムスリム男性の結婚が認められることは無い。このため外国へ駆落ちして政治難民になるという手段が用いられるが、駆落ちに失敗した場合には男女共に処刑されている。 このほか、 イラン、アフガニスタン、パキスタンなど一部の国では石打ちによる死刑が科せられる。 イスラム教シーア派では、ミシャー婚と呼ばれる制度における性行為は合法であり罪にならないとしている。 厳格なワッハーブ派では、未婚での性行為は死罪としている。 イラクのシーア派では、クルアーン第24章2節を根拠として最高刑でも鞭打ち100回としている。 インドネシアでは、ミシャー婚を悪用した合法売春が行われているほどで、ズィナーの罪は形骸化している。 ただし、いずれも執行に際して、かなりの程度女性に偏った過酷な刑罰を課す傾向にある。
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