司法試験による法曹資格取得(Admission on Examination)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/06 14:36 UTC 版)
「ニューヨーク州弁護士」の記事における「司法試験による法曹資格取得(Admission on Examination)」の解説
一般に、アメリカ合衆国のロー・スクールを修了して、法務博士(J.D.)の学位を取得した後、ニューヨーク州司法試験委員会(The New York State Board of Law Examiners(BOLE))が年2回(7月・2月)実施するニューヨーク州司法試験を合格後、ニューヨーク州の裁判所が認めた者に限り、ニューヨーク州弁護士の資格を得ることができる。全州統一法曹倫理試験(Multistate Professional Responsibility Examination)においてニューヨーク州が求める合格基準点を弁護士登録の前に取得しておく必要もある。 アメリカ合衆国で法務博士(J.D.)の単位を取得していなくても、一定の要件を満たす者がニューヨーク州司法試験の受験資格を得ることができ、もっとも多いパターンは、アメリカ合衆国のロー・スクールで法学修士(LL.M.)の学位を取得し、かつ、所定の法律に関する所定の数の単位を取得することである。法学修士(LL.M.)課程は、原則アメリカ合衆国のロー・スクールに9ヶ月程度留学すれば修了できるため、アメリカ合衆国国外からの多くの法律系留学生はこの課程を修了し法学修士(LL.M.)の学位を取得した後、そのままニューヨーク州の司法試験を受験し、ニューヨーク州弁護士資格を取得してから帰国する場合が多い(ゆえに外国人の受験比率は極めて高い)。但し、法学修士(LL.M.)課程経由での受験は、受験者の本国での法学教育や本国の司法試験制度にも左右されるため、法学修士(LL.M.)の学位を取得すれば誰でもニューヨーク州司法試験を受験できる訳ではない点に留意しなければならない。また、イングランド等のコモン・ロー法域で法学学位を取得し、本国の弁護士となる教育要件を満たしている場合には、米国のLL.M.を受けずにニューヨーク州司法試験を受験できる場合がある。 2011年5月にニューヨーク州司法試験の受験資格が変更され、必要な単位数が20単位から24単位に増加した。また、その24単位に(a)最低2単位のprofessional responsibility/legal ethicsを満たす科目、(b)最低2単位のlegal research, writing and analysisを満たす科目、(c)最低2単位のAmerican legal studies, American legal system or similar courseを満たす科目、(d)最低6単位のother courses tested on NY Bar examを満たす科目を含まなければならないようになった。そのため、ニューヨーク州司法試験を受験したい場合、履修しなければならない科目に「枷」が設定されたことになる。どの科目が(a)~(d)を満たすのかは各ロー・スクールによって異なるため、秋学期の科目履修の前にこれらの情報を入手しておく必要がある。 さらに、2015年1月1日以降にニューヨーク州弁護士登録を行う場合には、50時間のプロボノ(Pro Bono)活動を行った証明(宣誓供述書)の提出が必要となった。なお、プロボノ活動として認められるためには、例えば資格弁護士の下で法律に関するプロボノ活動を行う必要がある等、いくつかの要件があるため注意すべきである。日本の弁護士であれば比較的容易かもしれないが、各企業の法務部員や学生・大学院生は、いつ・どこでプロボノ活動に従事できるのかを探さなければならず、また仮に見つかった場合でもいかに50時間の要件を満たすかを考えなければならない。
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