古代ヘブライ・ギリシアからキリスト教神学での変遷
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/09/04 02:45 UTC 版)
「霊性 (キリスト教)」の記事における「古代ヘブライ・ギリシアからキリスト教神学での変遷」の解説
カトリック神学用語として霊性が使用されたのは5世紀に遡る。その背景にはパウロが使った「霊」(ギリシア語でプネウマ)がある。 霊性(Spirituality)と霊(Spirit)が欧米日本共に近似しているため両者を混同しやすいため、その区別を確かめることは重要である。 Spirituality(スピリチュアリティ)は、古典ギリシャ語のπνευμα (プネウマ)、ψυχή(プシュケー)、ヘブライ語のרוח(ルーアハ)、ラテン語のspiritus(スピリトゥス)、英語のspirit(スピリット)を語源とし、聖書の日本語訳では聖霊、御霊とも訳されてきた。従来の日本のキリスト教においては「霊的」という言葉が使われてきたが、キリスト教でもその歴史のなかで修道院における霊的観想や霊的修練を見直す運動につながるなど、神に従って生きようとするキリスト者の歩みの総体を「霊性」という言葉で表現するようになった。 霊性という言葉は使われはじめた当初から新プラトン主義的な身体や物質と対立する意味での「魂(プシュケー)」に概念的な接近を見せている。金子晴勇によれば、『旧約聖書』の「霊(ルーアッハ)」・『新約聖書』の「霊(プネウマ)」とプラトン主義的な「霊(プシュケー)」には相違が見られる。プシュケー、プネウマはもともと気息を意味した。 奥村一郎は、霊性を、霊(プネウマ)と魂(プシュケー)と体(ソーマ)の三原理を統合するものと定義し、霊は円の中心にあり、体は円周に、魂(または精神、心)は円の内にある。奥村は「人間の中心にあって本来みえない霊の働きが、魂という精神機能を通して心理現象となり、次に体がそれに目に見える形象を与えるとき霊性となる」と解説する。
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