反射増幅器
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/22 05:54 UTC 版)
反射増幅器の交流等価回路。 二つのトンネルダイオード反射増幅器をカスケード接続した、8-12 GHzで動作するマイクロ波増幅器。 広く使用されている回路の1つに、サーキュレータによって信号を分離する反射増幅器がある。サーキュレータは3つのポートを持つ不可逆固体回路素子で、あるポートに入射した信号を隣のポートの片方に送る。つまりポート1に入射した信号をポート2へ、ポート2からの信号をポート3へ、ポート3から1へと送る。右図に示す反射増幅器ではポート1に信号が入力され、ポート2にはバイアスを含む電圧制御型負性抵抗ダイオード N がフィルター F を介して接続されており、出力回路はポート3に置かれている。入力信号はポート1からポート2のダイオードに送られるが、ダイオードから「反射」された増幅信号はポート3に流されるため出力から入力への結合はほとんどない。入出力の伝送線路の特性インピーダンス Z 0 {\displaystyle Z_{0}} (通常は50 Ω)はサーキュレータのポートとインピーダンス整合が取られている。フィルタ F は適切なインピーダンスを与えてダイオードのゲインを調節するためにある。高周波において負性抵抗ダイオードは純粋な抵抗性負荷ではなくリアクタンスを持つため、フィルタにはこれを共役リアクタンスで打ち消して定在波を防ぐ役割もある。 フィルタはリアクタンス成分しか持たずそれ自体では電力を吸収しないため、電力はダイオードとポートの間を無損失で通過する。ダイオードへ入力される信号の電力は P in = V I 2 / R 1 {\displaystyle P_{\text{in}}=V_{I}^{2}/R_{1}} ダイオードからの出力電力は P out = V R 2 / R 1 {\displaystyle P_{\text{out}}=V_{R}^{2}/R_{1}} したがって増幅器のパワーゲイン(英語版) G P {\displaystyle G_{P}} は反射係数の自乗で与えられる。 G P = P out P in = V R 2 V I 2 = | Γ | 2 {\displaystyle G_{\text{P}}={P_{\text{out}} \over P_{\text{in}}}={V_{R}^{2} \over V_{I}^{2}}=|\Gamma |^{2}} | Γ | 2 = | Z N − Z 1 Z N + Z 1 | 2 {\displaystyle |\Gamma |^{2}={\Bigg |}{Z_{\text{N}}-Z_{1} \over Z_{\text{N}}+Z_{1}}{\Bigg |}^{2}} | Γ | 2 = | R N + j X N − ( R 1 + j X 1 ) R N + j X N + R 1 + j X 1 | 2 {\displaystyle |\Gamma |^{2}={\Bigg |}{R_{\text{N}}+jX_{\text{N}}-(R_{1}+jX_{1}) \over R_{\text{N}}+jX_{\text{N}}+R_{1}+jX_{1}}{\Bigg |}^{2}} R N {\displaystyle R_{\text{N}}} はダイオードの負性抵抗 − r {\displaystyle -r} にあたる。フィルタとダイオードの整合が取れている、すなわち X 1 = − X N {\displaystyle X_{1}=-X_{\text{N}}} だと仮定すると、ゲインは以下のようになる。 G P = | Γ | 2 = ( r + R 1 ) 2 + 4 X N 2 ( r − R 1 ) 2 {\displaystyle G_{\text{P}}=|\Gamma |^{2}={(r+R_{1})^{2}+4X_{\text{N}}^{2} \over (r-R_{1})^{2}}} ここまでに述べた電圧制御型反射増幅器は R 1 < r {\displaystyle R_{1}
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