十字靭帯断裂(膝)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/07/05 15:04 UTC 版)
膝関節の前側、後側、内側、外側には、前十字靭帯(anterior cruciate ligament, ACL)、後十字靭帯(posterior cruciate ligament, PCL)、内側側副靭帯(medial collateral ligament, MCL)、外側側副靭帯(lateral collateral ligament, LCL)がそれぞれ配置されている。 前十字靭帯、後十字靭帯における十字靭帯断裂では、スポーツ、交通事故による損傷が増加している。前十字靭帯の断裂はバレーボール、バスケットボールなどの着地時、ジャンプ時、また疾走中に急激に速度を緩めた時などに減速損傷 deceleration injury として発生することが多い。 前十字靭帯損傷の詳細は前十字靭帯を参照 一方、後十字靭帯の断裂はダッシュボード損傷 dashboard injury のように、屈曲位で上端下端に強い力が作用した時に起こりやすい。いずれの場合も、十字靭帯の単独損傷ではなく、複合損傷となることが多い。 症状として引き出し症状や回旋不安定性などが見られるが、後十字靭帯断裂では膝屈曲位で下腿の後方への落ち込み sagging が見られる。主に行われる引き出しテスト以外にも Lachman テスト、jerk テスト、pivot shift テストなど、多種類の検査法が発表されている。治療の前段階で正確に診断を下すことが必要で、ストレスX線、関節造影、関節鏡などを併せて総合的に行う。新鮮外傷で2週間以内に縫合すれば優れた効果が期待できるが、陳旧例になると再建術が必要になることが多く効果も低下するため、早期治療が重要である。 また十字靭帯の他、内側側副靭帯は膝を外反強制された時に損傷しやすく、損傷の頻度が高い。外側側副靭帯は膝を内反強制された時に損傷しやすいが、単独での損傷はほとんど見られない。
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