区分のしかた
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/22 08:07 UTC 版)
区分の原理を選ぶ 区分をするためには、何らかの観点に基づく必要がある。たとえば(あくまで一例だが)映画をジャンルで区分する場合は、この「ジャンル」が区分の観点である。区分をするための観点のことを「区分原理」(または「区分特性」)と呼ぶ。 区分肢の作成 対象(群)をある区分原理によって区分したときにできるグループを「区分肢」とよぶ。例えば映画をジャンルという区分原理で区分すると、アクション映画 / SF映画 / 恋愛映画... などの区分肢ができる。 区分を行う時に起きがちな問題:「複数の区分肢に入ってしまう対象が現れること」「どの区分肢にも分類できない対象が現れること」 なお、映画にはアクション映画でもありSF映画でもあるものがある。そのような映画はアクション映画の区分肢とSF映画の区分肢の両方に属していることになる。このように対象をどれか1つだけの区分肢に属するようにできない区分は「相互排他的」ではない。 一方、どのような(用意された)ジャンルにも属さない映画もある。このようにどこの区分肢にも属さない対象が出てきてしまう区分は「包括的」(網羅的)ではない。 区分の原則 対象を相互排他的かつ包括的に区分することを「区分の原則」とよぶ。上の映画のジャンルによる分類の例でも理解できるように、「区分の原則」を守ることは現実には困難な場合が多い。だが、区分の原則が守れているか否かを常に意識することは重要である。(たとえば,多肢選択式の質問票で,選択肢が包括的な区分になっておらず,どの項目にも該当しない(回答できない)場合がある。また,複数項目に該当するのに1つだけ回答するように指示されている場合も,回答に困る。 問題の解決法 包括的な区分ができない場合は(つまり、どの区分肢にも入らない対象が残ってしまう場合に、それを防ぐためには)「その他」(という一種の区分肢、枠)を用意する。(なお複数の人で区分の作業をする場合は、責任者があらかじめ、最初から「その他」という区分肢(カテゴリ)を用意しておくことが有効であり、大切である。そうでないと、個々の作業者は、どの区分肢にも入れられない対象に出会った段階で、ひとり途方に暮れてしまう。あらかじめ「その他」という枠が用意されていないと、しばしば、個々の区分作業担当者は、やけくそになって(黙ったまま、相談もせず)強引に不適切な区分肢に押し込んでしまい、結果として、押し込まれた先の区分肢にカテゴリ錯誤の(「仲間はずれ」の)要素がチラホラと紛れ込む結果を産み、結局、分類全体をじわじわと崩壊させていってしまう。) 相互排他的な区分ができない場合は(つまり、複数の区分肢に入る対象が、現れる場合は)「複数の区分肢に当てはまる」を認める、などの対応がとられる。(現代のようにデータベースを道具として使いつつ分類作業(区分作業)をする場合は、あらかじめ、データベースの設計の段階で、複数の区分肢に当てはまる対象が現れることを想定して、それに対応できるようにデータベース設計をしておく必要がある。(たとえば項目名をあらかじめ追加しておくなど。たとえば映画なら、たとえば「ジャンル1」「ジャンル2」...などと、複数のジャンル枠をあらかじめ用意しておいて、個々の担当者レベルで該当するジャンル名を複数記入できるようにしておく方法などがある。)。ただし、そのような対応をする前に、一度、本当に区分の原則が守れないのか、よく考える必要もある。だが理詰めでよくよく検討して、やはり「区分の原則」はこの分野では守れない、ということが明らかならば、守れないという前提で区分方式を用意(したりデータベース設計をしたり)せざるを得ない。
※この「区分のしかた」の解説は、「分類」の解説の一部です。
「区分のしかた」を含む「分類」の記事については、「分類」の概要を参照ください。
- 区分のしかたのページへのリンク