北方領土問題と樺太・千島交換条約の関連
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/03 06:51 UTC 版)
「樺太・千島交換条約」の記事における「北方領土問題と樺太・千島交換条約の関連」の解説
いわゆる北方領土問題では、この条約での「千島列島」の範囲が争点の一つになることがある。サンフランシスコ講和条約で千島列島を放棄したが、日本政府の見解では放棄した千島列島に択捉島と国後島を含んだいわゆる北方領土は含まれないと説明される。 このさい放棄した千島列島の定義として樺太・千島交換条約第二款によるクリル列島とは占守島(シュムシュ島)から得撫島 (ウルップ島) とされていることを根拠の一つとすることがある。しかし、この文言解釈による主張は、条約として効力の無い日本語訳文をもとにしており、複数の学者がフランス語正文からはこのような解釈は成り立たないとの指摘を行っている。なお、第7回衆議院外務委員会で、西村熊雄政府委員(外務省条約局長)は、「明治八年の交換條約で言う意味は、いわゆる日露間の国境以外の部分である千島のすべての島という意味でございましよう。ですから千島列島なるものが、その国境以北だけがいわゆる千島列島であつて、それ以南の南千島というものが千島列島でないという反対解釈は生れないかと思います」と説明した。この説明は国内的に1956年2月に正式に取り消され、その後は「北方領土は日本固有の領土であるので、日本が放棄した千島には含まれていない」としている。 樺太千島交換条約は平和裏に締約された領土交渉であり、千島列島全体の返還を主張する論が存在しており、とくに日本の国会に議席を持っている政党の中で日本共産党はこの樺太・千島交換条約を根拠にして得撫島以北を含めた全千島の返還をソビエト連邦および現在のロシア連邦に要求している。
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