包括的PHCと選択的PHC
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/11 15:33 UTC 版)
「国際保健」の記事における「包括的PHCと選択的PHC」の解説
ヘルスケアサービスは、人間の生存にとって必要不可欠なものであるが、国の経済、政治、社会によって国民のニーズもサービスシステムも異なる。このような中で、PHC が事情の異なる国々にどのように受け入れられるのか、アルマ・アタ宣言議決当初から多くの懸念や批判が出された。またPHCを主導する人々の間でも、様々な方法が展開されるようになった。中でも、その後の保健開発戦略の主流を成すようになったのは、Walsh と Wallen による「選択的PHC (Selective Primary Health Care)」である。 彼らは、アルマ・アタ宣言で唱えられたPHCを包括的PHCと呼んで区別し、包括的PHCの達成には長い年月が掛かるため、それを実現するための中間的な方法として特定のターゲットを設定する必要があるとして、選択的PHCを提唱した。例えば、拡大予防接種計画 (EPI) などがその範疇に入る。 選択的PHCの考え方は、援助実施機関にとっては、効率性とコスト、評価の容易さ、効果の目に見えやすさなどの観点から魅力的であり、多くのドナーで取り入れられ、複数の選択的PHCをパッケージ化して提供する手法が一般化していった。 一方で、選択的PHCは、逆に包括的PHCの支持者からも批判を受けている。批判の要点は次のような点に集約できる。 トップダウン型のアプローチに近く、アルマ・アタ宣言の理念である住民参加型のボトムアップ型アプローチにはほど遠い。 成果は見えやすいが、結局は一時的な成果にとどまり、持続可能でない。 ドナーに迎合した方法論になりやすく、PHC といっても結果的に医療的なアプローチに戻ってしまう可能性がある。
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