効果への疑問
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1953年10月17日の第16回衆議院農林委員会に参考人として出席した、戸苅義次東京大学農学部教授は、麦はもともと低温に遭遇しないと穂ができないという性質をもつことを認めながら、一方で、北海道の一部で作られている春まき麦は、低温に遭遇しなくても育成できることにも言及している。こうしてヤロビ農法をまっこうから否定しないまでも、「大きい効果をもたらしていない」との判断を示している。 1954年2月27日の第19回国会・衆議院農林委員会で、塩見友之助農業改良局長は、ヤロビ農法が注目されるようになってから、日本の農事試験場でも試験が行われ、秋まき性の麦が春まきにできることが判明したことを明らかにしている。同時に、従来の「芽出し」以上に春化処理をやった種子が優れているという結果が出ていないことも明確にした。ジャガイモに光を当てる栽培法についても、北海道大学農学部の島善鄰が戦後直後に取り組んでいることを明らかにしている。事実、すでに1946年には島善鄰・伊藤正輔共著『馬鈴薯の浴光催芽法 : 早掘栽培法』という書籍が出版されている。 以上のようにヤロビ農法は、秋まき性の麦が春まきにできることを日本の農業生産者に知らしめ、春まき麦への注目や温度管理の必要性への着目、既存の栽培法の普及・導入のきっかけにもなったが、それ自体ではさしたる効果を上げなかったことや、スターリン批判とルイセンコの失脚で、衰退した。
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