前肢と胸帯
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/28 04:15 UTC 版)
ケイルハウイアの肩甲骨は前端部で扇状の肩峰突起に向かって広がった比較的真っすぐなブレード状の構造を持つ。クリオプテリギウスやシステロニアおよびプラティプテリギウス・ヘルキニクスに共通した特徴であるが、アカンプトネクテスとスヴェルトネクテスほど発達してはいない。肩甲骨には寛骨臼というよりむしろ関節窩が形成されており、関節窩は肩甲骨の底の表面に達していない。これはスヴェルトネクテスと共通し、クリオプテリギウスとは異なる特徴である。広く広がった肩甲骨の部位は中央付近で最も広くなっており、わずかに下を向いていた。肩甲骨の厚さは比較的均一であり、これはアカンプトネクテス以外のオフタルモサウルス科の魚竜と特徴を異にする。 鎖骨は胸帯の他の骨とは繋がっておらず、胴体の正中線に向かって突出した正面下縁上で厚く発達している。この構造は短く、正面から見ると正方形である。他のオフタルモサウルス科魚竜の大半においては同様の構造は指のような形をしているが、オフタルモサウルスの標本にはケイルハウイアと同様の構造を持つものが数点存在する。肩甲骨の背部は湾曲した点に向かって徐々に細くなっており、これはオフタルモサウルスやバプタノドンおよびヤヌサウルスと共通する。 烏口骨は腎臓のような形状をした骨で、幅と長さが同程度である。クリオプテリギウスやナノプテリギウスおよびスヴェルトネクテスではケイルハウイアほどの幅はない。オフタルモサウルスやアースロプテリギウスと同様に、鳥口骨の前縁部には窪みが発達している。また正中線の正面に隆起が存在するが、これはオフタルモサウルスとアカンプトネクテスに共通し、カイプリサウルス やプラティプテリギウス・アウストラリスと異なる形質である。肩甲骨との関節面と関節窩は明確に分かれており、これはスヴェルトネクテスと共通しアカンプトネクテスと異なる。肩甲骨との関節面の長さは関節窩の45%程度しかなく、クリオプテリギウスでは50%である。また、2つの関節面の長さはヤヌサウルスのものと一致する。 上腕骨には発達した突起が2つ存在する。背側には長く尾根状の比較的控えめな突起が存在し、他のオフタルモサウルス科の魚竜と比較して非常に短く、上腕骨の半分の長さにも満たず、ウンドロサウルスとアエギロサウルスに共通する。オフタルモサウルス、ブラキプテリギウス、パラオフタルモサウルス、クリオプテリギウスにおいては上腕骨の半分の長さにまで達し、アースロプテリギウスやプラティプテリギウス各種はさらにそれを上回る長さを誇る。もう1つの突起は胸三角筋が附随する突起であり、これも上腕骨の長さの半分未満というオフタルモサウルス科の中では小さな部類で、アースロプテリギウスやヤヌサウルスおよびプラティプテリギウス・ヘルキニクスに共通する。オフタルモサウルスでは上腕骨の半分の長さと等しく、システロニアやアカンプトネクテスおよびプラティプテリギウス・アメリカヌスでは上腕骨全体の長さと等しい。 上腕骨の中央は最大幅の20%ほど細くなっており、下端は上端よりも大きい。下端には3つの関節面が存在し、前体軸方向の部位との関節面(最小)、橈骨との関節面(最大)、尺骨との関節面(橈骨との面に対し120°の角度をなす)である。スヴェルトネクテス、ナノプテリギウス、プラティプテリギウス・ハウタリ、プラティプテリギウス・プラティダクティルスは2つの関節面しか持たず、マイアスポンディルス、アエギロサウルス、ブラキプテリギウス、プラティプテリギウス・アメリカヌスは3つの関節面を持つものの第2の面は別の骨と繋がっている。クリオプテリギウスは左上腕骨に2つ、右上腕骨に3つの関節面を有する。また、プラティプテリギウス・アウストラリスとプラティプテリギウス・ヘルキニクスは4つの関節面を持つ。
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