制服を悪用した犯罪
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/22 05:31 UTC 版)
制服が職業・職務を表すという機能を悪用し、警察官などを装った犯罪は後を絶たない(警察手帳を貸与され携行しているにもかかわらず、提示を要求されても「制服が身分証明だ」と強弁し拒否する警察官もいる為。1968年に三億円事件、1978年に制服警官女子大生殺人事件、1988年には警察官ネコババ事件が発生)。このため、2002年には階級章一体で個人コードが刻まれた名札「識別章」が導入された。 制服以外の身分証明を求めたり、電話で確認したりすることで防げる事もあるが、通常はそこまで確認は困難である。宅配便業者では訪問先・地域ごとに専従の担当者を置く対策法を取るところもある(別の人間が配達に訪れる事は代理の際に限られる)。消防吏員・消防団員を装った消火器販売(灰色の作業服姿で来る)や電力会社・ガス会社の集金・点検を装った詐欺事件、宅配便業者を装い鍵を開けさせる強盗事件なども起きている(このため電力・ガス・水道各社では使用量通知書に「本票を使って集金する事はありません」と注意書きをしている)。 ノルウェー連続テロ事件のウトヤ島銃乱射では、犯人は警察官の制服を着用してテロ対象者を安心させた上で犯行に及んでおり、被害者はテロリストを警察官と信じて整列した。その影響で69人が死亡した。 ハーグ陸戦条約では交戦相手国の軍服を着用し偽装して武力行使する事は禁止されている。1944年のバルジの戦いの際には、オットー・スコルツェニー率いるSS特殊部隊がアメリカ軍兵士が遺棄して行った軍服を着用し連合軍勢力圏に潜入、通信網や交通網に混乱を与えたこともあったが、もし連合軍兵士によって素性が明かされたら銃殺は免れなかった(実際に数名が、発見されたその場で銃殺されている)。逆に、自軍の軍服の上に敵軍の軍服を着込み、戦闘時には敵軍の軍服をパッと脱ぎ捨てるという方法も両軍の一部特殊部隊では行われており、この戦法を採ったおかげで処刑を免れた兵士も多かったという。
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