利用、地方名等
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/10 09:35 UTC 版)
昔は、枝や若葉を堆肥に入れて、またはそのまま農地に入れ、ムギや陸稲などの肥料にされた。また、殺虫の効果があり、葉を煎じた汁は汲み取り便所の蛆殺し、牛馬のシラミ殺しに使われた。また、肥料とするため、2-3日の間、手摘みすると本種の成分によって顔や首の皮膚が赤くはれてかぶれたという。 この本種の持つ特徴、効用、利用方法等に由来した地方名に、サワウルシ(千葉県)、ウジコロシ(青森県・宮城県・群馬県)、ウマアライノキ(岐阜県)がある。また、語源が不詳のものや通用地域がごく限られたものとして、センズイ(紀伊半島の熊野地方)、タイサギ(高知県)、タイサゲ(徳島県)、トウミョウ(兵庫県・岡山県)、トモメ(広島県)、ニドガミ(千葉県)、ヌタベ、ミタビ(三重県)、ネズ(愛媛県)、ミャム(熊本県)などがあるが、いずれも日本各地の人々が本種を利用して、その地方での特有の地方名がつけられたもの考えられている。 植物学者の倉田悟は、和名コクサギの由来について、クサギとの関係を述べながらも、「コクサとは緑肥のことで、葉を堆肥に入れるほか、水田の緑肥にコクサギの枝葉を使う民俗も全国各地にあったから、コクサギは『緑肥にする木』といった意味ではなかろうか。」といい、「また、神奈川県にはコクソッパの名がある。養蚕のとき害虫を防ぐため敷物としてコクサギの枝葉を使い、蚕の糞がついた枝葉はときどきとりかえるという。だからコクソとは『蚕糞』であるとの説もある。」と、コクサギの「植物と民俗」にかかわる興味深い話を紹介している。
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