別件逮捕後
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/05 07:42 UTC 版)
「北九州市病院長殺害事件」の記事における「別件逮捕後」の解説
S・Y・牛乳販売店主の3人は逮捕前、恐喝未遂事件について口裏合わせを行っており、当初は取り調べに対し、3人とも「損害を受けた金を賠償してもらっただけ」「恐喝した金は全額、牛乳販売店主が受け取った」という主張で一致していた。しかし、その後の取り調べで牛乳販売店主は「実は10万円しかもらっていなかった」と供述を翻し、Yも「全額を牛乳販売店主に渡したわけではなく、一部はみんなでスナックに飲みに行って遣った」と供述した。 捜査本部は翌3月1日、2人を福岡地方検察庁小倉支部へ送検し、2日には福岡地方裁判所小倉支部が、2人を10日間にわたり拘置することを認めた。これに対し、2人の弁護人である高向幹範弁護士(後に第一審でYの弁護人を担当)は3日付で、「2人には明らかに恐喝の意思はなく、本事件(殺人・死体遺棄事件)の嫌疑を掛けられてはいるものの、捜査が身近に及んだことを知ってから3か月も逃げ隠れせず、今後逃亡や証拠隠滅を図る可能性も低い。本事件のために利用された不当な別件逮捕・拘置だ」として、拘置理由開示を求めたが、福岡地裁小倉支部(池田克俊裁判長)は同月7日、「捜査記録から、2人は罪(恐喝未遂)を犯しており、証拠隠滅・逃亡の恐れがある」という理由を示し、高向からの理由の具体的根拠の釈明を求める要求も、「捜査の秘密もあり、応じられない」との理由で退けた。 逮捕後、Sが主犯格と目された一方、気の小さい性格だったYは身柄を小倉南警察署へ移送された。しかし、2人はそれまでの報道や、逮捕容疑が本事件に関連するもの(殺人や死体遺棄)ではなかったことなどから、自分たちがAを殺害したことに直結する証拠を警察に把握されていないことを知っており、別件逮捕されて以降も「自供さえしなければ大丈夫だ」と考えていた。Yは、事件当日(11月4日夜)の行動について、「Sと一緒にサウナに入った後、女友達の家に泊まった」とアリバイを主張して容疑を否認し、Sも頑強に黙秘を続けた。そのため、捜査本部は別件逮捕以降、2人への取り調べを進める一方、慎重に物的証拠の見極めを続けた。
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