冷凍・冬眠
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/09/30 22:37 UTC 版)
人間を恒星船に乗せて飛ばす場合、その人間の扱いに関して様々な方法がある。現在の科学で、比較的実現へのハードルが低いとされているのは、人体を冷凍し、限り無く無人恒星船に近付けて打ち上げる方法である。この方法は冬眠船とも呼ばれる。 これには倫理的な問題もさる事ながら、安全性の確保に問題がある。たとえ冷凍したとしても、宇宙空間の素粒子や放射線は無遠慮に宇宙船を貫通して行き、衝突の際にはエネルギーを発生させる。この過程で凍結された人体は部分解凍と再凍結を繰り返し、また衝突した時のエネルギーは有機分子を変性させる可能性もあるため、人体を構成する分子構造が破壊される危険性がある。生命活動を行っている状態なら、少々の破壊は自己治癒するが、凍結されている場合は破壊される一方であるため、この問題はより顕著となる。 そのため、できるだけ短い期間で目的地に到着させることで被曝量を減らすか、何らかのシールドで凍結した人体を確実に保護する必要があるが、化学ロケットでは速度に問題があり、より技術的な進歩を待たなければならない。 また凍結に至らず一定温度に冷却しながら人工的な冬眠状態=コールドスリープによって代謝量を極端に下げ老化を防ぎ寿命を延長しようというアプローチも存在する。ただしこちらは人間の生存に必要な資源を必要最小限にしようというアプローチであり、また冬眠中は緩やかであるにせよ代謝を行っていることから無制限に寿命を延長できるわけでもないため、2010年代において短期間であれば実用化の目途も立っている技術とはいえ、恒星間航行に適用するためにはより強力な推進機関の開発も必要となっている。
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