冠位を授かる者
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/29 16:28 UTC 版)
姓(カバネ)は氏の構成員全員が身に帯びるが、冠位は直接何かの役職について朝廷に仕えるような個人だけが授かった。判明している数十例からみる限り、十二階の冠位の授与範囲は、畿内とその周辺に限られていたらしい。具体的には、中央の有力豪族と畿内周辺の地方豪族が冠位を授かり、他地域の地方豪族はもらわなかった。朝廷の支配力の限界である。 知られる限りの例では、最上位の大徳と小徳は臣・連・君といった高い姓(カバネ)を持つ者で占められている(『上宮聖徳太子傳補闕記』では「造」の姓を持つ秦河勝が小徳に叙されているが、他にそのような記述は見られない)。大仁・小仁では高いカバネと低いカバネがまじっている。大礼以下は地方豪族や下級の伴造が主で、高いカバネのものは少数になる。 国博士の高向玄理が小徳、仏師の鞍作止利が大仁など、あまり高くない氏の出身者が特別な能力功績により高い冠位を授けられた例がいくつか伝わる。冠位十二階は門閥を打破し実績による人材登用の道を開くものだという説が根強くあるが、昇進は小野妹子が第5階の大礼から第1階の大徳に登ったのが顕著な例で、着実な昇進と呼ぶべき例はあまりない。後の律令制下の位階のような生まれの良さが昇進速度に反映して差が開くのではなく、生まれの貴賤で位が決まり、ほとんどの人がそのまま変わらないような、固定的身分制度であった。
※この「冠位を授かる者」の解説は、「冠位十二階」の解説の一部です。
「冠位を授かる者」を含む「冠位十二階」の記事については、「冠位十二階」の概要を参照ください。
- 冠位を授かる者のページへのリンク