写研書体の「OpenTypeフォント化」
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「写研」の記事における「写研書体の「OpenTypeフォント化」」の解説
写研は2011年7月、東京ビッグサイトで開かれた「第15回国際電子出版EXPO2011」に出展。従来の方針を大きく転換し、OpenType化した「写研フォント」を年内をめどにリリースすると石井裕子社長名で発表した。写研はこの時点でOpenType化作業は終了しているとして、会場ではどの書体からリリースするべきかのアンケートを行うとともに、印刷業界におけるプロユースを念頭に、Adobe InDesign CS5上での組版やiPadでの電子書籍閲覧などで写研フォントを用いるデモンストレーションを行い、大きく注目された。価格は未定で、電算写植機用デジタルアウトラインフォント(Cフォント、タショニムフォント)で存在する全書体を予定していた。 しかしOpenType化の元データとなったCフォントやタショニムフォントは、1980年代初頭の古い技術と設計水準で製作されたもので、各社の現行デジタルフォントに比べ、原字に対するアウトラインの精度が低かったため、写研は1文字ずつデータを修整する作業に着手せざるを得なくなり、2011年末を過ぎても販売時期未定の状態が続いた。 さらに写植時代の既存文字だけではAdobe-Japan1-3(OpenType Std)相当にしかならない問題があり、写研が印刷業界の自社ユーザーに聞き取りを行ったところ、Adobe-Japan1-4(OpenType Pro、2000年3月発表)以上を標準とする現代の商業印刷では、業務用に用いるには難しいとの指摘がなされた。印刷業界が求めるAJ1-4以上にするには、写植時代にはなかった不足分の文字を各書体ごとに新しくデザインする作業が避けられない一方、写研から書体開発のデザイナーたちが去って既に10年あまりの年月が経過しており、結局2016年ごろを最後に「写研フォント」を提供しようとする動きはいったん途絶えた。
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