共和国の憲法上の立場
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/22 04:16 UTC 版)
「ロシアの共和国」の記事における「共和国の憲法上の立場」の解説
「共和国」は、州や地方や自治管区といった連邦構成主体とは持つ権利などが異なる。まず共和国は、独自の公用語(ロシア連邦憲法第68条による)や独自の憲法を持つことができる。ただし公用語の正書法はキリル表記であることが求められる。 共和国という連邦構成主体に対して認められる実際の自治のレベルや範囲はそれぞれに異なっているが、一般的には非常に広範にわたる。各共和国は議会が立法権を持つが、共和国の作った法律は連邦の憲法としばしば衝突を起こしている。また各共和国の首長(大統領)も非常に強い権力を持つ。 ただし2000年代に入りウラジーミル・プーチンが大統領を務めた時期に、連邦憲法の優位と中央集権を確立する目的で共和国の自治権は大きく削減されている。連邦大統領が地方を監督するために、プーチンは連邦を7つに区分して州や共和国の上に連邦管区を置き、連邦の法や憲法に違反しないかどうか共和国の活動を監督するようにした。さらにプーチンは各共和国の立法府の権限を強め、逆に首長(大統領)の権限を弱めた。共和国の首長(大統領)の選び方も、プーチンの時期に直接選挙が廃止されてロシア連邦大統領が指名するようになっているが、各共和国の議会の承認は必要である。 中央集権化の動きは、共和国首脳の呼称にも影響している。共和国の首脳は、知事ではなく大統領の称号を持っていた。ソビエト連邦の崩壊直後、タタールスタン共和国やバシコルトスタン共和国などで、「ソビエト最高会議議長」などと呼ばれていた共和国首脳を「大統領」(ロシア語: Президент )と呼ぶ動きが起こったことから各共和国での大統領呼称が定着したが、2010年8月にチェチェン共和国でラムザン・カディロフ大統領が自らの呼称を「首長」(ロシア語: Глава)とする案を議会に提出し、2010年9月2日に議会で改憲案が通ったことを皮切りに各共和国で同調の動きが起こり、2011年1月にはドミートリー・メドヴェージェフ連邦大統領が各共和国首脳が大統領と名乗れなくする法律にサインしたことにより、大統領の称号は「首長」「代表」などと呼びかえられることになった。 各共和国には一定規模の分離主義者がいるが、一般的にその勢力はあまり強くない。しかしソ連崩壊直後の時期には、タタールスタン共和国、バシコルトスタン共和国、サハ共和国、チェチェン共和国が分離独立を宣言して各共和国国民の支持を得た。チェチェンの場合はチェチェン戦争にまでつながっている。各共和国では、「基幹民族」となる主要民族以外にロシア人などの民族が多数住んでおり、分離主義に対しては一定の歯止めになっている。また各共和国の「基幹民族」となる民族はその共和国内にほとんどが住む場合が多いが、タタール人の場合はタタールスタン共和国の外に大多数が住んでおり、こうしたことも分離独立の歯止めになっている。
※この「共和国の憲法上の立場」の解説は、「ロシアの共和国」の解説の一部です。
「共和国の憲法上の立場」を含む「ロシアの共和国」の記事については、「ロシアの共和国」の概要を参照ください。
- 共和国の憲法上の立場のページへのリンク