先端医療への中絶胎児組織の利用
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/05 07:29 UTC 版)
「人工妊娠中絶」の記事における「先端医療への中絶胎児組織の利用」の解説
中国や米国では、中絶処置で摘出された胎児の組織を利用して、アルツハイマー病やパーキンソン病の治療などの研究に使用されている。アメリカではそのための法整備もされており、網膜色素変性症などの一部の難病においては人体への臨床試験が実施され視力が回復した症例もある。ただし、米国の医療関連の非営利組織「全米家族計画連盟(PPFA)」が「臓器1つ当たり30~100ドル」などで臓器売買に関わっている疑惑が公表されると団体は大きな批判にさらされたと報道されている。 日本でも一部の大学で動物研究が行われている。一方、こういった行為に対して「胎児売買に繋がる」として、反対する団体もある。アメリカでは中絶胎児の組織の利用については住民投票が行われた州もあり、推進する州と禁止する州にわかれている。バイオメーカーが集まるカリフォルニア州では研究に州の予算が投入されている。このような研究についてドイツでは明確に禁止している。 日本では「ヒト幹細胞を用いた臨床研究の在り方に関する専門委員会」が立ちあげられ議論が進められているが、3年間-20回を超す会合を行っても堂々巡りの小田原評定を繰り返すだけで、先進国で日本だけが2005年時点で「認可するか禁止するか」の結論が出ていない。そのため日本国内で唯一研究をしていた大阪医療センターでも、中絶胎児から採取した細胞の培養の提供を中止してしまい、さらに先進国に遅れる事態となっている。 中国では法規制が殆ど無いために、既に脊髄損傷や筋萎縮性側索硬化症(ALS)などへの使用がビジネスとして成功しており、世界中から患者が殺到している。中国で実施されている治療の効果に対しては意見が分かれている。
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