偰とは? わかりやすく解説

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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/06/12 09:34 UTC 版)

(せつ)は、漢姓の一つ。

中国の姓

各種表記
繁体字
簡体字
拼音 Xiè
注音符号 ㄒㄧㄝˋ
ラテン字 Hsieh
広東語発音: Sit3
上海語発音: Sih4
台湾語白話字 Sih
英文 Xie, Shieh, Sye, Hsieh[1]
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(せつ、Xiè)は、漢姓の一つである。

出自

中国においては、古くは、武王(現在の北京市付近)に封じた黄帝の末裔の子孫として文献に現われるが、これは𨜒〔契+阝(おおざと)〕氏・契氏・偰氏などと表記に揺れがある[1][2]。この姓は、阝(おおざと)が付くことから、封地あるいは封国の名に由来するものであると推測される[2]漢姓#中国の姓の分類も参照)。

また、の臣下で司徒となり、の下でもその地位を歴任した上述の黄帝の末裔の子孫である商(殷)の祖先)が偰氏を伝えたが、後に氏に改めたという[2][3]。なお、殷(契)の姓が子とされているので混乱するかもしれないが、この時代は姓と氏とは違う概念のものである。姓は母系血統、氏は父系血統を指すものであった(詳しくは、漢姓#姓と氏、同じく漢姓#中国の姓氏の起源参照)。

次に、後に朝鮮へ移住して偰(ソル)氏となった一族(後述)については、その出自について二つの説がある。

一つは、祖先が高車人であって代に回鶻ウイグル)人となったものが、偰輦傑河に居住していたため、その頭文字を取って偰氏となったというものである[1]

もう一つは、東突厥毘伽可汗(ビルゲ・カガン)に重用された暾欲谷(トニュクク)英語版中国語版を先祖とする代の色目人である。彼らは突厥部に属していたが、突厥滅亡後、回鶻に仕えることとなり、代々相国の地位を継承していたものが、偰輦傑河に居住していたため、その頭文字を姓としたというものである[1]

他にも、今日の回族にこの姓を持つものがある[1]

郡望

[1]

分布

江蘇省宜興武進江西省南昌新建上海等の地域に均しく分布している[1]

著名な人物

朝鮮の姓

ソル
各種表記
ハングル
漢字
発音: ソル
日本語読み: せつ
英語表記: Seol, Sŏl, Sul, Seul, Sol, Sull
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(せつ、ソル、: )は、朝鮮人の姓の一つである。

著名な人物

氏族

本貫慶州偰氏が大宗である。ウイグル族系の帰化氏族で、同じくウイグル系の帰化氏族には他に林川李氏がある。慶州偰氏の始祖はウイグル人で参知政事であった偰文質の孫で朝鮮に帰化した偰遜である。偰遜は元の順帝の時、端本堂正字として名声が高かったが、紅巾の乱を避けて、1358年恭愍王7年)高麗帰化して高麗の代表的詩人の一人に数えられた。単州知州、富原侯にも任じられた。偰というのは彼の祖先が、偰輦傑河中国モンゴル国境地帯)で暮らしていたからだという。偰遜の息子5兄弟の中で偰長寿(1341年1399年)が代表的人物である。偰長寿は恭譲王の時の門下判三司事などを歴任したが鄭夢周らに追われ、流浪し、朝鮮建国後また登用されて検校門下侍中となり、慶州に籍を賜わり、これが本貫となる。弟の偰慶寿・偰眉寿も文科に合格し、偰眉寿は太宗の時判書・検校右参賛を歴任した。偰慶寿の息子の偰循も太宗の時文科に及第、世宗の時文科重試に合格して同知中枢府事にのぼりつめた。

氏族(地域) 創始者 人数(2015年)[5]
慶州偰氏 ウイグル王国財務大臣を祖先に持ち、高麗帰化した偰遜 2,898
淳昌偰氏 9
玉川偰氏 15

人口と割合

年度 人口 世帯数 順位 割合
1930年 - 168世帯 250姓中143位
1960年
1985年 1,952人 442世帯 274姓中145位
2000年 3,298人 1037世帯 286姓中142位
2015年 2,937人[5]

備考

朝鮮語ではと同音であるため、慶州偰氏と慶州薛氏も同音である(韓国語版ウィキペディアko:경주 설씨では同じページに同居する)。

出典

  1. ^ a b c d e f g h i 袁義達・邱家儒(2010) 中国姓氏大辞典, 1080頁「偰 xiè」。
  2. ^ a b c d 日中民族科学研究所編(1983[1978]) 『中国姓氏事典』、138頁「511【偰】 セツ(ケイ) ch′i」:「上古、帝堯に仕えた司徒の先祖が、姓を伝えたが、後と改めた。朝末に忠臣偰列篪の名がある。偰は契に通ず。」〔原文の傍点は、太字に変えた〕
  3. ^ 上掲 中国姓氏大辞典, 691頁「契 xiè」にも、「契,相伝高辛氏之子,為舜司徒,商之祖先,其後有契氏,見《姓源》(契、高辛氏〔〕の子、舜の司徒となり、商の祖先、その後裔に契氏がある、と伝えられる。『姓源』に見える)」との記述がある。
  4. ^ 金文京 『漢文と東アジア』 岩波書店〈岩波新書〉、2010年。ISBN 978-4-00-431262-8。160頁, 172頁
  5. ^ a b KOSIS”. kosis.kr. 2022年11月21日閲覧。

参考文献

関連項目


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