修正と批准
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/27 03:53 UTC 版)
基本条約の修正のための通常の改定手続では、欧州連合のいずれかの機関からの改定提案が欧州理事会に送られることを要する。提案を受けて欧州理事会議長は改定後の条約の起草を行なう加盟国の政府、議会の議員、欧州議会議員、欧州委員会の代表者で構成される協議会を招集するか、改定内容が微細なものである場合には欧州理事会自身において改定後の条約を起草するかのいずれかを行なう。その後協議は政府間で行なわれ、新条約が合意に達すれば各国の首脳らによって署名、国内において批准されることになる。 簡易化された改定手続は、欧州連合の機能に関する条約の第3部にのみ、欧州連合の権限を強化しない範囲で適用されるものであり、これは欧州理事会において合意されれば改定ができるものの、効力を持つには各国の議会における承認を要する。さらに票決手続の変更についての「架け橋」条項がある。一部の政策分野の立法手続では、理事会において全会一致を要し、また欧州議会の関与が最小限に抑えられているものがある。これについては、防衛関係以外のものであれば、欧州理事会が全会一致で合意し、また加盟国の議会の反対がない場合において通常の立法手続に変更することができる。 欧州連合の法的根拠に変更を加えるには、各加盟国における手続にしたがって批准されなければならない。このとき全加盟国の批准を要し、また批准書をイタリア政府に寄託してはじめて新条約が発効することになる。このときアイルランドでは、欧州連合の法的根拠を変更するさいには憲法を改定することを要するため国民投票が実施される。他方でドイツは国民投票の実施が基本法で認められていないため、批准は議会が行なう。 国民投票で条約が市民の賛成を得られなかったという事例がある。アイルランドやデンマークは譲歩案を受けたことで、2度目の国民投票が行なわれたということがある。これに対してフランスやオランダの事例では国民投票を実施した結果、条約発効が断念されたということがあった。ノルウェーは2度にわたって加盟条約を国民投票で否決している。
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