信頼性の検討
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/12/12 05:22 UTC 版)
情報源に着目しつつ情報の内容を確認することによって、得られた情報の内容の信頼性を吟味することもできる。ひとつは、同じ情報源から得られる別の記述と整合性があるか、また、別の情報源から得られる記述・証言と整合性があるかを確かめる。この2つの作業によって信頼性を吟味することができるのである。ジーゲルミューラーは前者を「内的整合性」後者を「外的整合性」という用語で呼んでいる。 同一の情報源からの情報でありながら別の箇所の記述と整合性を欠いている場合は、その情報源の信頼性に疑問符がつくことになる。不整合があるということは、何らかの不注意や上滑りな分析がそこに含まれている可能性を示唆している。 裁判においては検察官や弁護士は証人の発言の内的整合性に特に注意を払う。内的整合性がない、との指摘で証人の発言内容の信頼性は下がってしまうのである。中絶を巡る議論でも、中絶賛成派が論拠に持ち出す話の内部整合性のなさが中絶反対派から批判されることがある。母体の生命を保護するために中絶を認めるべきだとしておきながら胎児の生命は失っても問題ないとするのでは、生命の普遍性という観点からは内部整合性を欠いているのである。 外部整合性について言うと、独立した、別々の情報源からの情報と整合性があるかどうかを調べてみる、ということである。ある人の発言が他の様々な情報源の著しく食い違い支持者が全くない場合は、その発言を根拠としてしまうことには問題が出てくる。ジーゲルミューラーによれば、複数の情報源で情報に食い違いがある場合でも、ただちに情報元の信頼性がすっかり失われてしまうわけではないが、問題となっている主題に関しては複数の情報元のどれがより信頼できるのか検討が必要となってくるという。 外的整合性の有無は根拠を保証する肯定的な使い方も、根拠を拒否する否定的な使い方もできる。歴史学者のルイ・ゴットシャルクは「独立的実証」という概念について次のように説明している。「歴史学者が用いる一般的な規則というのは、二人以上の信頼できる証人の独立した証言に基づく事項だけを、歴史的なものとして受け入れることである」。二つの独立した(無関係な)情報源から同一の意見や前提が得られ、それを根拠として用いれば、より高い信頼性が得られるのである。
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