体の性の様々な発達
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/01/05 00:16 UTC 版)
「性別の割り当て」の記事における「体の性の様々な発達」の解説
身体的な性の特徴の発達(性分化)はXY染色体のみならず、その他の遺伝子や個人における遺伝子の表現度(英語版)が関わっていることが分かっている。すなわち、女性にも、男性にも様々な身体的な性の特徴を持つ人が存在する。その中でも、身体的な特徴が、いわゆる典型的とされる男性と女性の特徴に完全に当てはまらない状態が見られることがある。また、外性器、生殖腺、性染色体、性ホルモンなどがそれぞれ示唆する性別が一致しない場合も見られる。 何を典型的な身体特徴とするかによって定義が変動するものの、このように身体の性の発達が非典型的とされる人は、狭義では0.018%、広義では1.7%ほど存在するとされる。外性器の形状や大きさがいわゆる典型的な女性か男性のものと一致しない新生児は0.02%から0.05%いると報告されている。このような性分化に起因する非典型的な身体的状態は、包括的にDSDs(体の性の様々な発達)、性分化疾患やインターセックスなどと称されるが、実際には約60種類以上に及ぶ個別の状態のことを指す。そのうち多くの場合は、DSDsに相当する状態であっても性別の割り当てに必ずしも問題が生じるわけではなく、多くの場合は明確なガイドラインを用いて男性か女性に割り当てられる。また、身体的な特徴が典型的とされる人(DSDsでない人)の間でも実際には性分化は多様である。また、出生時やその後の性の発達が非典型的である(DSDsを持っている)ことと、性別違和を感じること(後述)に直接的な関係はない。 出生時に明確に性別が割り当てられ、典型的な身体的特徴を持つ人でも、思春期や成年後に原発性無月経や染色体検査により、割り当てられた性別ではない染色体(女性がXY染色体や男性がXX染色体)を保持していることが判明する場合もある。染色体検査を受けることは一般的でなく、個人的な事象であるため、女性のみを対象として行われるスポーツにおける性別確認で発覚する件が公に知られることが多い。1967年には遺伝的モザイクだった女子陸上選手エワ・クロブコフスカが検査の不適切な結果を根拠に出場停止処分を受けたことが知られている。 人間の身体的な性別(sex)は男性と女性の明確な二元的であるという考えがそもそも生物学的に誤りで、実際には全ての人の性別はスペクトルの上に存在するという主張も存在する。ネイチャー誌に記載された記事では、典型的に男性と認識される特徴と典型的に女性と認識される特徴の間には、連続的な特徴が存在していると示された。これは、連続性はDSDsを持つ人のみでなく、全ての人に当てはまるが、DSDsの状態を男性と女性の中間にある状態であると誤って認識される恐れがあるとして、当事者団体からは批判的である。
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