伝承や事物
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/13 18:30 UTC 版)
ヨーロッパ近辺にはほとんどサルはいないので、伝承等に姿を見せることは少ないが、それ以外の世界では、さまざまな関わりを持つ。 知能が高いことから利口で勇敢な、あるいは狡猾なイメージが付随する。前者の例は孫悟空やハヌマーンが有名である。後者の例としては、さるかに合戦のサルが挙げられる。また、伝承ではサルはヒトのまねをするものとされている。日本語では無闇に他人の真似をすることを「猿真似」と言い、英語でも不恰好な模倣を"ape"と表現する。 サルは酔拳や蛇拳などの象形拳や、形意拳の十二形拳にある「猴拳(こうけん)」「猴形拳(こうけいけん)」のモデルにもなっている。なお、通臂というのもサルの妖怪で、両手が肩の中で繋がっており、片方を縮めるともう一方がその分だけ伸ばせる。これを形に取ったのが通臂拳であるとも言われる。 日本では古来サルは日枝神社(比叡山)の使い番とされている。狂言にはサルの登場する作品がいくつかあり(『靱猿』など)、狂言師は子供のころにこの『靱猿』のサル役で初舞台を踏むという。また江戸の山王祭・神田祭では南伝馬町(現京橋一〜三丁目)が、烏帽子狩衣姿で御幣を持つ猿の人形を飾った「幣猿の吹貫の山車」を祭礼に出していた。この御幣を持つ猿は山王・神田以外の祭礼の山車にも取り入れられている。 仏教の戒律書『摩訶僧祇律』に、井戸の底に映った月を見たサルのボスが「月を救い出して世に光を取り戻してやろう」と手下に呼びかけ、樹の枝から数珠つなぎに下に降りていったが、手に届く寸前で枝が折れて全員井戸に落ちたという寓話「猿猴捉月」が記されている。この寓話を絵画化したものが「猿猴捉月図」である。身の程知らずな望みを持ち失敗することの例え話として、月を捉えようとするサルは禅画や水墨画の画題となっている。
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