二群の等分散性の検定
例題:
「ある地区で行った 40 歳以上 65 歳未満の住民検診に来所した男子 42 名,女子 63 名の血色素量についての検査成績は,男子では平均値 15.2 g/dl,不偏分散 1.1,女子では平均値 12.7 g/dl,不偏分散 3.2 であった。男女の分散に差はあるか,有意水準 5% で両側検定しなさい。」
R による解析
> my.var.test(42, 1.1, 63, 3.2) # この関数の定義を見る F value d.f.1 d.f.2 P value 2.909091e+00 6.200000e+01 4.100000e+01 4.431886e-04
二群の等分散性の検定
例題:
「ある地区で行った 40 歳以上 65 歳未満の住民検診に来所した男子 42 名,女子 63 名の血色素量についての検査成績は,男子では平均値 15.2 g/dl,不偏分散 1.1,女子では平均値 12.7 g/dl,不偏分散 3.2 であった。男女の分散に差はあるか,有意水準 5% で両側検定しなさい。」
検定手順
- 前提
- 帰無仮説 H0:「2 群の母分散は等しい」。
- 対立仮説 H1:「2 群の母分散は等しくない」。
- 有意水準 α で両側検定を行う(片側検定も定義できる)。
注:平均値の差の検定の予備検定として行う場合には,有意水準は α=0.25 程度にして検定を行ったほうがよい。
等分散であるかどうかを確かめてから,普通の t 検定を使うか,Welch の方法による t 検定にするかを決めるというのは,よくない。最初からWelch の方法による t 検定を使えばよい。
- 不偏分散の大きい方を Ua ,小さい方を Ub とし,それぞれに対応するケース数を na ,nb とする。
例題では,Ua = 3.2,Ub = 1.1,na = 63,nb = 42 である。
- 検定統計量 F0 を計算する。
F0 = Ua / Ub
例題では,F0 = 2.909 である。
- F0 は,第 1 自由度が na - 1,第 2 自由度が nb - 1 の F 分布に従う。
例題では,第 1 自由度が 62,第 2 自由度が 41 の F 分布に従う。
- 片側有意確率を P = Pr{F ≧ F0} とする。
F 分布表(α = 0.05,α = 0.025,α = 0.01,α = 0.005),または F 分布の上側確率の計算を参照すること。
例題では,F(62,41,0.025) < F(30,40,0.025) = 1.94 < F0 であるから,P < 0.025 である(正確な片側有意確率:P = 0.000221674)。
- 帰無仮説の採否を決める。
注:両側検定の結果を文章で記述するときに,「正確な有意確率は 2 P である」ということになる。
例題では,有意水準 5% で検定を行うとすれば(α = 0.05),2 P < α であるから,帰無仮説を棄却する。すなわち,「2 群の母分散は等しくない」といえる。
二群の等分散性の検定と同じ種類の言葉
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