事故重大度の評価
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/03 06:02 UTC 版)
「福島第一原子力発電所事故」の記事における「事故重大度の評価」の解説
国際原子力機関(IAEA)が定める原子力事故または事象の深刻度である国際原子力事象評価尺度 (INES) について、原子力安全・保安院は2011年4月12日、暫定的ながらレベル7(深刻な事故)と評価した。「7」はINESの最高レベルであり、1986年のチェルノブイリ原子力発電所事故もこれに当たる。1979年のスリーマイル島原子力発電所事故は「5」(施設外へのリスクを伴う事故)、1999年の東海村JCO臨界事故は「4」(施設外への大きなリスクを伴わない事故)である。 日本政府は、INESについて、11日16時時点ではレベル3と認定していた。12日にはレベル4に引き上げた。一方で、フランス原子力安全機関(英語版) (ASN) のラコスト総裁は、3月14日にはレベル「5」あるいはレベル「6」(大事故)との感触があるとし、翌日の3月15日には「事故の現状は前日(14日)と全く様相を異にする。レベル6に達したのは明らかだ」と述べた。また、アメリカ合衆国の科学国際安全保障研究所(英語版) (ISIS) は3月15日に「レベル6に近く、レベル7に到達する恐れがある」との見解を発表した。それでもなお、3月16日の時点において、日本の原子力安全・保安院は3月12日に認定したレベル「4」との見方を変えなかった。16日時点では国際原子力機関は、INES判定を保留しており、米国フロリダ州立大学の核物理学者カービー・ケンパーも影響を評価するには時期尚早であり、十分な評価材料がない、とした。原子力安全・保安院は、3月18日にINES判定をレベル5に引き上げた。これに対し米科学国際安全保障研究所 (ISIS) は4月1日、さらに深刻なレベル「6」に引き上げるべきだとの見解を示した。 3月25日、原子力安全委員会のSPEEDIシステムを使った放射性物質の放出量は3万TBq - 11万TBqと推定された。これはINESのレベル「7」の基準1には該当する。 4月12日、原子力安全・保安院は国際原子力事故評価尺度の暫定評価をレベル7に引き上げた。ただし4月12日時点で環境への放射性物質排出量は、事故発生から4月5日までの間で、チェルノブイリ原子力発電所事故の1割程度(37京Bq)であるとしていた。 一方では、3月12日の東京電力の松本純一・原子力立地本部長代理の記者会見では「福島第一原発は放射性物質の放出を止め切れておらず、(放出量は)チェルノブイリ原発事故に匹敵、または超える懸念がある」との認識が示されている。ただし、「言い過ぎたかもしれない。依然として事態の収束がまだできておらず、現時点で完全に放射性物質を止め切れないという認識があるということだ」とも補足している。
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