乱数の品質
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/09 06:55 UTC 版)
「Transport Layer Security」の記事における「乱数の品質」の解説
他の多くの近代暗号と同様に、TLSもまた、暗号としての強度は乱数の品質に依存している。桁数(ビット長)の大きな暗号は推測が難しいという前提が暗号強度の根拠となっている(これは、公開鍵暗号システムにも言える)。もし何らかの理由で乱数の出現確率が大きく偏るようなことがあれば、総当たり攻撃で解読される可能性が上昇する。通常は、これは実装の問題に起因している。 古い例では、Netscapeの初期の実装における乱数生成の脆弱性がある。プロセスIDや時刻から乱数を生成していることが判明し、これらの情報を取得できる場合には総当たり攻撃の所要時間が大幅に短くなるという問題があった。 2008年5月15日にはDebianが脆弱性に関する報告を発表した。OpenSSLライブラリのパッケージメンテナンスの際に誤ったパッチを導入した結果、鍵生成に適切な乱数が使われず僅か65536 (= 216) 通りの予測可能な物が生成されてしまった事を明らかにした(なお、この問題はOpenSSLそのものの脆弱性ではない)。この影響を受けるのはDebian sargeより後のバージョンのDebianと、それから派生したDamn Small Linux、KNOPPIX、Linspire、Progeny Debian、sidux、Ubuntu、UserLinux、Xandrosである。脆弱性のあるバージョンのOpenSSLは2006年9月17日に公開された。安定バージョンがリリースされた2007年4月8日以降は確実に影響を受ける。脆弱性のあるバージョンのOpenSSLで作られた鍵全て、SSH鍵、OpenVPN鍵、DNSSEC鍵、X.509証明書を生成するのに使われる鍵データ、およびSSL/TLSコネクションに使うセッション鍵等が影響を受ける。これらの鍵は65536通り全てを総当たり攻撃で試すだけでいずれの鍵が使われているか解読可能であり(SSHでは20分間で解読できたと報告されている)、また脆弱な鍵がインストールされたDebianを含む全てのオペレーティングシステムにおいて緊急の対応が必要であると専門家が注意を呼びかけている。生成された鍵に問題があるため、Debian GNU/Linuxで生成した鍵をMicrosoft Windowsのような非UNIXシステムに導入しているような場合も、この脆弱性の影響を受ける。具体的対応については、Debianの報告の他、JPCERT/CCの勧告等に従うべきである。
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