九州帝国大学の組織的関与について
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/26 14:54 UTC 版)
「九州大学生体解剖事件」の記事における「九州帝国大学の組織的関与について」の解説
大学は事件が発覚した直後に、組織的関与を否定している。米軍側においても(軍事法廷でのフォン・バーゲン主任検事による最終論告において)九州大学の組織的関与については明確に否定している。この事件についてノンフィクション作家の上坂冬子は、いわば九州大学を現場として起こった「一握りの個人のアイデアに基づく行動」と言える性格のものとしている。もし組織的関与があったならば当時において学部長・総長の責任が問われてしかるべきであるが、GHQから嫌疑をかけられておらず、起訴もされていない。軍人5名が肝臓を試食したとする容疑については、GHQ捜査官による全くのでっち上げで、当時においても死刑求刑後11日目に被疑者全員がGHQによって無罪放免にされていると上坂冬子は著書で述べている。 このように、この事件は大学組織とは無関係な出来事であったとは言えない。学内およびOBによって関心が向けられる機会は少なく、近年まで話題に上ることはあまりなかった。しかしながら今日、九州大学はたとえ本事件に対し直接的な関わりはないとしても、過去の歴史上の事件に対する医療倫理および医学史的関心から、医療者として真摯な姿勢で向き合う姿勢を示している。2008年11月29日には医学部構内において日本生命倫理学会第20回年次大会が開催され、医学生として解剖に立ち会ったと証言する東野利夫により基調講演「いわゆる『九大生体解剖事件』の真相と歴史的教訓」が行われた。 また、2015年4月4日に開館した九州大医学部医学歴史館では解剖事件を解説する説明パネルが設置されている。なお、東野利夫は自ら収集した事件関係資料の展示を求めたが、受け入れられなかったという
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