中国での発祥
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/03 02:32 UTC 版)
漢代までの中国では、蔵書印を含む紙への印に先立つものとして、封泥への印が盛んに行われた:70-73。荷物を縛った紐にかぶせた粘土を封泥というが、これに印を捺して、発送者の身分を示すとともに配達中に改竄があったときそれと分かるようにしたものである:70-73。用いられた印は役割としては官印や公印と呼ばれる種類のもので、特定の官職などにだけ使用が許された、権力の裏付けの伴う、公的な認証のための印だった:70-73。 収蔵物への印として確認されているもののなかでは、唐代の太宗の「貞観」印、玄宗の「開元」印が最古と言われる。この頃に見られる蔵印の古例は、基本的に宮廷が鑑蔵した書画に用いられたものである。 蔵書印が本格的に始まったのは宋代の中国とみなされている。宋代の中国では、紙と印刷技術の普及、出版の発達、書画鑑賞の文化の発展に伴って、紙の上の書画に捺すものとしての印章が大きく発達した:70-73。図書の鑑蔵を示すものとして最古級の印はこの時代のもので、王涯の「永存珍秘」印、梁秀の「收閲古書」印、太祖文帝の「秘閣図書」印などとされる。 明・清の時代になってからは、さらに蔵書印が広まった。私的に使われることも多くなり、それ自体が趣味や賞玩の対象ともなった:70-73:111。
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