山縣初男とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > 百科事典 > 山縣初男の意味・解説 

山縣初男

(三志園 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/09/04 09:01 UTC 版)

1925年3月14日、雲南にて

山縣 初男(やまがた はつお、1873年明治6年〉8月31日 - 1971年昭和46年〉1月11日)は、日本陸軍の軍人・著述家・中国文学研究者・翻訳家。別号は三志園海城。最終階級は陸軍大佐。陸軍の中国通(支那通)の一人として知られ、繆斌工作に関与していた。娘婿は自由民主党の政治家である三原朝雄新潟県村上本町表新町(現・村上市)に生まれる[1]

事績

旧士族・山縣正升の長男として生まれる。村上私学校を中退して陸軍教導団歩兵科に入り、1894年(明治27年)3月に卒業。歩兵二等軍曹として日清戦争に参戦した。1898年(明治31年)12月、士官候補生となり、陸軍士官学校(12期)に入学(同期に小磯國昭らがいる)。1900年(明治33年)11月に卒業後、歩兵第30連隊に所属して日露戦争に参戦する[1]

これ以後は中国関係の勤務に従事し、約40年にわたって中国各地に在住、陸軍の中国通(支那通)の1人として知られることになる。中華民国成立後は、雲南唐継尭貴州劉顕世軍事顧問を務めた。特に唐の軍事顧問としては、1921年から翌年にかけて起きた顧品珍のクーデター鎮圧に貢献している。1923年大正12年)、陸軍大佐に昇進、1926年(大正15年)3月、予備役に編入。

退官後も山縣は引き続き中国で活動を続けたが、その傍らで中国文学の翻訳や研究にも携わるようになり、様々な著書や訳書を発表している。1933年(昭和8年)3月2日、山縣と交流があった魯迅は、山縣の求めに応じて小説と題詩を贈った。この2首が著名な『吶喊』題詩と『彷徨』題詩である[2]1945年昭和20年)1月、総理大臣・小磯國昭の要請を受け、山縣は汪兆銘政権繆斌に直接会うなど和平工作に従事したが、これは失敗に終わっている[1][3][注 1]

戦後は暫く東京都に居住し、後に福岡県遠賀郡遠賀町へ移り、娘婿・三原朝雄宅に寓居した。1971年(昭和46年)1月11日没。享年99(満97歳)[1]

栄典

作品

〔著作〕

  • 『西蔵通覧』(丸善、1907年)
    • 『補註西蔵通覧』(慧文社、2010年)
    • 中華民国台湾)で華文書局版(1969年)、文海出版社版(2003年)として訳本あり
  • 『軍人精神教育之栞』上下(軍需商会出版部、1908年)
  • 『最新支那通志』(冨山房、1912年)
  • 『蒙古縦断旅行報告』(鈴木晟太郎共著、出版者不明、1914年?)
  • 老子の新研究』(大阪屋号書店、1926年)※1940年訂補版あり
  • 『老子と易経との比較研究』(大阪屋号書店、1927年)
  • 『新支那案内記』(万里閣、1939年)
  • 『秘境雲南』(中文館書店、1944年)
  • 『臥牛庵吟草』(田風印刷廠〈香港〉、1960年)
  • 『中国』(中国刊行会編、三原朝雄個人出版、1967年)

〔翻訳〕

  • 『天下第二奇書』(伍廷芳編著、神道天行居、1928年)
  • 『霊魂世界』(霊学研究社編、神道天行居、1929年)
  • 『不老不死仙遊記』(李百川撰、竹内克己共訳、立命館出版、1933年)
  • 『野叟曝言 支那小説』第1、第2(立命館出版、1934年)
    • 『野叟曝言 支那侠艶怪奇小説』(秋豊園出版部、1935年)
    • 『大侠艶史 原名・野叟曝言』(興亜書局、1940年)
  • 『四嬌奇縁 支那小説』(秋豊園出版部、1935年)
  • 『揚州綺談 支那現代社会小説』(同上)
  • 『侠艶記 支那小説』(秋豊園出版部、1936年)
  • 『滅亡 他一篇』(巴金著、興亜書局、1940年)
  • 中共領袖の素描』(趙貫一・韋柏編、大衆社、1955年)※「三志園」名義。原著は香港自由出版社、1951年版
  • 戦国策物語 奇策縦横』(奥野信太郎編、人物往来社、1962年)

注釈

  1. ^ 工作の詳細な内容は、「繆斌」及び「繆斌工作」の当該記事を参照。

出典

  1. ^ a b c d 村上市編(1992), p.722.
  2. ^ 高田(1971)、162-170頁。
  3. ^ 栗原・波多野編(1986)、392-395頁、401-403頁、417頁。
  4. ^ 『官報』第5484号「叙任及辞令」1901年10月11日。
  5. ^ 『官報』第8185号「叙任及辞令」1910年10月1日。

参考文献




英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「山縣初男」の関連用語

山縣初男のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



山縣初男のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの山縣初男 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS